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第1回
「エドワード」 〜4つのバラードとロマンス作品75-1
(Edward)
■タイトルを見て「ピアノ曲?」と思った人も多いと思う。作品10-1も同じように「エドワード」という副題がついている。元となっている詩は同じもので、後年詩に付曲したのが作品75-1の「エドワード」だ。■この「エドワード」は、まず演奏会で取り上げられることはない。日本では皆無だろう(もし国内で演奏されるなら、この1曲を聴くためだけにどこへでも行くぞ、私は!)。楽譜がブライトコプフ・ウント・ヘルテル社の「旧全集」に収録されているのみで、一般に出回っていないことと、編成が意外とやりにくいのかもしれない。外国では1997年(ブラームス没後100年の年)に、オーストリア・ミュルツツシュラークにあるブラームス協会がブラームス・ツィクルスを行い、そのプログラムの中で演奏されていることがわかっている。そして録音は、私が確認できている範囲で言うと、ドイツ・グラモフォンから出ているブラームス全曲集の中のみ。■ピアノ伴奏は低い位置の音が続き、それが物語の始まりの緊迫感を出している。要所ではドラマ性を出すために、めちゃくちゃ音が多い和音でビシッと決めている。通作形式だからこそ出せるドラマだ。この曲、私の中ではブラームスの声楽曲中、すべてにおいてナンバーワン。■詩はもともとスコットランドのもので、ゴットフリート・ヘルダーによってドイツ語に訳されている。■父親を殺してしまった息子エドワード(ドイツ語読みではエドヴァルト)とその母親とのやり取りを描いていて、めちゃめちゃ血なまぐさい内容。父親を殺すことをエドワードにそそのかしたのが母親だなんて、怖すぎる。このご時世、ちょっとシャレにならないよな……。

*楽曲情報*
歌詞:スコットランドの詩
独訳:ゴットフリート・ヘルダー
作曲:1877年
初演:1879年12月17日 ウィーン
献呈:ユリウス・アルガイヤー
編成:アルトとテノールの二重唱、ピアノ
調性:へ短調

BRAHMS Vocal EnsemblesBRAHMS Lieder
E.マティス(S)/B.ファスベンダー(A)/P.シュライアー(T)/D.フィッシャー=ディースカウ(Br)/K.エンゲル(pf)

今のところ「エドワード」を聴くことができる唯一のCDでは。もしこれ以外に「エドワード」を収録しているCDがあったらぜひ教えてほしい! この曲は本当にドラマチックでカッコイイ。楽譜は全集にしか収録されてないためか、歌われる機会がほんとに少ない。残念すぎ!