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第2回
「5つのオフィーリアの歌」
(Fünf Ophelia Lieder)
■またもやマニアックな歌を選んでしまった(笑)。 この歌の主人公オフィーリアとは、かの有名なシェイクスピアの戯曲「ハムレット」に出てくる、ちょっとおかしくなってしまった悲劇のヒロインの名前。原詩は当然英語だが、これをアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルとルートヴィヒ・ティークによって独訳されたものにブラームスは付曲している。ちょうど第4幕のオフィーリア狂乱のシーンだ。■この作品には通し番号がない。WoO(Werke ohne Opuszahl:番号なしの作品)がついている。その理由としては、1873年に女優のオルガ・プレハイゼンに依頼された注文の仕事だったからではないかと思う。ちなみに、若い頃は例外だが、ブラームスは注文の仕事はあまりしていない。作品番号のついている作品は、私の知る限りでは注文されて作曲した作品はない。ブラームスは楽譜出版の印税だけで生活出来るようになった作曲家であることを遠回しに証明しているかのようだ。■注文によって作曲されたからか、この曲の存在は広く知られていなかったため、発見されたのが遅かった。1930年代に入り、ブラームスの本を執筆したとして知られている、カール・ガイリンガーによって日の目をみた(たぶんウィーン楽友協会アルヒーフにて)。そして1935年にシャーマー社より楽譜が出版されている。ちなみに私が持っているのはブライトコプフ・ウント・ヘルテル社の楽譜。1曲が1ページもないので、非常に薄いもの(それなのに、航空便で取り寄せたら2500円もかかった!!)。発見が遅かったので、当然のことながらブラームス全集には収録されていない。■この曲はとにかくかわいい。本当にかわいらしい。5曲の内、3曲が有節形式で作られており、残りの2曲は有節形式だということは認められないものの、似たようなメロディーの繰り返しがあるので、まるで有節形式かのように聴こえる。全曲素朴で単純な仕上がりとなっていて、雰囲気は民謡調かな。1曲1曲が短いので、全曲を通して歌っても、まず8分以上かかることはない。ジェシー・ノーマンは全曲を約5分ほどで歌っている。■一度聴いたらやみつきになるこの曲、機会があればぜひともいろんな人に聴いてもらいたい! 前回紹介した「エドワード」(作品75-1)同様、国内で演奏される機会があるのならば、この曲のためだけにどこへでも駆けつけるぞ! そう私が思っている作品だ。

*楽曲情報*
歌詩:スペインの詩
独訳:ゲオルク・フリードリッヒ・ダウマー
作曲:1871年秋
初演:1872年12月18日 ウィーン、R.ジルツィク独唱
編成:独唱、ピアノ
調性:ロ長調

BRAHMS LIEDER Vol.1BRAHMS Lieder (左)■BRAHMS Lieder
J.Norman(S)/D.Fischer-Dieskau(Br)/D.Barenmoim(pf)
(右)■BRAHMS LIEDER Vol.1
D.Soffel(Ms)/C.Spencer(pf)

オフィーリアの歌は、もっといろんな人に歌われていると思いきや、私が知ってる限りではこの2枚に収録されているのみ。ノーマンはテンポよく歌っているが、ゾッフェルはめちゃたっぷりと歌っている。聴き比べるとまったく別の曲みたい。