古い編み物本がKindleで買える! 〜昭和10年刊行の本

昨日の投稿で、昭和28(1953)年に刊行された古い編み物本『毛糸編物新型集 主婦之友(九月号)附録』がデジタル化されKindleで販売されていることについて紹介しました。
ほかにもいくつか古い編み物本は見つかるのですが、そのなかの一つに昭和10(1935)年に刊行されたという冊子がありまして、興味を引かれてサンプルを見てみたら……ものすごい衝撃!を受けたため、購入しました。それが『新しい模様編と基礎編(婦人倶樂部十月號附錄)』(大日本雄弁会講談社、手芸ライフ、昭和10年、1935年/リンク先:Kindleストア、Amazon)です。『毛糸編物新型集』よりも18年前に刊行されたんですよ、コレ。なお、大日本雄弁会講談社というのは、現在の講談社のことです。昭和10年に出たこの本を手にとっていたのは、おそらく明治か大正にお生まれになった方々ですよね。私の祖母の世代です。なお、父が昭和10年生まれです。そう考えると、えらい古いなー! もうあと10年もしないうちに、一世紀前に出た刊行物ということになります。
この本は、いま風に言えば模様編みのパターン集です。棒針の模様編み97パターン、かぎ針の模様編み9パターン、そのほかに編み物の基礎として、毛糸についてや棒針・かぎ針の編み方の基礎、編み地での刺繍の仕方などが掲載されています。時代が違いすぎて、模様のパターン名もいまと全然違うし、まだ隅々まで目を通してないので何とも言えませんが、もしかしたらいまでは知られていない模様編みもあるのかも。
これも雑誌『婦人倶樂部』の附録だったようですが、内容を見る限りは、これ本当に附録?と思ってしまうほど内容が濃いです。
なんでこの本を買おうと思ったのかというと、それはいま私たちが目にするのとはまったく違う編み図が掲載されていたからです。この編み図は藤本敏子さんという方によって考案され(以下、藤本編み図)、これが当時とても画期的で斬新な発明だったことが、本書のまえがきにあたる「『読みながら編む』から『見ながら編む』への飛躍」からも伺えます。編み図を見ればどう編むのかがひと目で分かるのがすごいでしょう!とちょっと熱っぽく綴られているのが微笑ましい。
編み図とはいっても、いまで言う記号とは違っていて、漢字やひらがなを丸または四角で囲み、その中身でどう編むのかを定義しています。なかには見慣れない言葉もありますが、これらをどう編むのかはちゃんと基礎編みの項目で解説されています。

そして、一番最初に掲載されている群峯編[ルビ:ぐんほうあみ]の編み図は下記の通りです。

これを現代の編み図に置き換えてみました(「作り目」は左側に置くべきだったかも……)。

現代の編み図は、編み地を表から見たときを図に描いているため、裏側を編むときは記号を頭の中で置き換えないといけません。たとえば裏側を編む2段目なら、表目は裏目に、裏目は表目に、といったように。
しかし藤本編み図は、表から見た図ではなく、編んでいる状態でどう編むのかを描いた図なんです。2段目は裏裏表表……と書かれていますが、これをそのとおりに編めばいいだけなので、頭の中で記号の変換をする必要がない、画期的な編み図ということなんです! 試しに藤本編み図を見ながら編んでみたのですが(下の写真)、これがとても分かりやすくて、驚きました。

ちょっと見づらいかもしれませんが、雑誌に掲載されていたサンプルも載せておきます。まったく同じものができました。

藤本編み図は記号の意味や編み方を覚えたり見慣れるまでは少し時間がかかりそうですが、表裏くらいしか書かれていないものならめちゃくちゃ簡単でした。これは本当にすばらしい! 藤本編み図でいろんなパターンを編んでいけたら楽しいだろうなー! せっかく本(Kindleだけど)も買ったことだし、そのうちやってみたいな。
なお、現在編み図で使用されている記号が考案・実用化されたのは、この本が刊行された19年後の昭和29(1954)年だそうです。
