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第3回
「私は夢を見た」〜8つのリートと歌 作品57-3
(Es träumte mir)
■またもや歌曲を選んでしまった。好みが完全に大編成から小編成へ移行しちゃってるから仕方ないんですわ。次回は器楽曲にするつもりだから。たぶん。■この曲は詩から入った。今はもう絶版になってしまっているけど、昔音楽之友社から『ドイツ名歌曲全集』というシリーズで声楽楽譜がポケットスコアサイズで出版されていた(ブラームスは全5巻)。これを学生時代に偶然店頭で大安売り(笑)しているのを見つけ、ソッコー全巻購入(『とりあえず買っとけ』精神)。その頃はブラームスの声楽曲といえば「子守歌」しか知らなかった時代(私にだってそんな時代もあったのさ)だったので、特に興味もなくパラパラとページをめくっていた時、何気なく目に留まったのがこの「私は夢を見た」だった。自分が体験・実感することだと、詩とはこんなにも身近に感じるものなんだなぁと思った。■幸せな夢をみた。「こんなに幸せなんて、きっと夢なんだろう」とそう思っている夢の中の私。目覚めたくない、目覚めたくない、目覚めたくない・・・。目覚めたら現実に引き戻されちゃうから。夢なんだけど、自分の中では願望であってちょっと現実かも。よぅわからん(笑)。■この詩、ロマンチックさを感じるより何より、(この詩の場合は恋愛だけど、それだけに限らず)むっちゃくちゃ切ない。現実の世界で実現することができないから夢で見る(見てしまう)のであって、実現することができない現実を目の前に突きつけられてるんだから。結構残酷。■曲は、なまぬるい風が下から少しずつぶわっと吹き上げてくるような感じが最初から最後まで続く。全体的に穏やかな調子なんだけど、「私は夢の中でそれが夢であることを知っていたんです!」って2回も歌ってるから主人公は間違いなく悲しんでるよな(笑)。■この曲が入っている作品57の8曲は、ブラームスにしてはめずらしく、男女のドロッとした人間臭ーい恋愛をあからさまにうたった詩に付曲したため、周りからは不評だったようだ。まあ、あんまり生々しいのはちょっと……ってことなんだろうけどね。

*楽曲情報*
歌詩:スペインの詩
独訳:ゲオルク・フリードリッヒ・ダウマー
作曲:1871年秋
初演:1872年12月18日 ウィーン、R.ジルツィク独唱
編成:独唱、ピアノ
調性:ロ長調

BRAHMS LiederBRAHMS Lieder
J.Norman(S)/D.Fischer-Dieskau(Br)/D.Barenmoim(pf)

ブラームスの歌曲はコレがあれば、こと足りてしまう。すごくいい全集だったのに、現在は廃盤のようなので、残念でならない。ブラームスの歌曲はすごくいい曲がたくさんあるので、みんなもっと聴きましょう。