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第5回
「パガニーニの主題による変奏曲」作品35
(Variationen über ein Thema von Paganini a-moll op.35)
■どこかで宣言した言葉を撤回してしまうようで申し訳ない。今回は「オルガン曲を!」とどこかに書いた記憶があるが、ブラームスのオルガン曲は資料が少ないため、書き上げるのにもう少し時間がかかりそうなのだ。なので、今回は資料も揃っていて、しかも最近毎日のように聴いている「パガニーニの主題による変奏曲」をテーマにすることにした。オルガン曲を待っていてくださってる方、申し訳ないです。■では本題の「パガニーニの主題による変奏曲」に。この曲はブラームスの中でも、ミラーボールのごとく光り輝くような、えらいド派手さがある。というのも、リストの愛弟子であったタウジヒというヴィルトゥオーゾ・ピアニストに触発され書かれた、ブラームスの曲の中では数少ない「超絶技巧」を要する曲だからである。■主題として用いられているのは、パガニーニ作曲の「24のカプリース(←仏語 caprice)」第24番イ短調である。この曲も変奏形式で書かれている。パガニーニのこのカプリースは、当時よく主題として扱われ、シューマン、リストそれぞれが曲を書いている。■この「パガニーニの主題による変奏曲」は少し不思議な作り方をしている。それは同じ主題で2曲を書き、それを分冊し発売していたのである。なぜ2冊に分冊する必要があったのか、という疑問はなくもないが、それについて考察するのは今さらジローである。現在は2曲とも演奏されるし、これらを別々の曲として扱われていないからである。でもこの2曲を一気に演奏するべきかそうでないべきか、ということになるとちょっと話は違う。ブラームス本人は「第1巻の後に休むんだよ、そこで人々が満足しなかったら第2巻を演奏するのさ」と言っている。つまり観客が満足していることが分かればすぐさま続けて第2巻を弾けってことね。結局はどのように演奏してもいいってことか(笑)。■ブラームスはこの曲の副題として「精巧な指のためのピアノの練習曲」と書いた。そう、この曲は練習曲なのである。たしかに楽譜を見てみると、ハノンの練習曲を彷彿とさせるような箇所、そして最上級テクニックが必要な箇所がふんだんにちりばめられている。変奏によっては、右と左の拍子が違っていたりもする。第1巻は第5変奏がそれである。右手は2/4拍子なのに対し、左手は6/8拍子。聴いていると、左手は三連譜を最後まで演奏しているという趣きだ。■私は第1巻がお気に入りである。変奏曲というのは、何度聴いても新しい発見がありものすごく楽しめる。しかもこの曲は2巻合わせて28の変奏が書かれているが、一つとして同じリズムで書かれたものがないので、発見はいくらでも見つけることができる。この曲を好きだと思うのは、きっとその辺も理由の一つだと思う。■最後は「変奏曲はいいぞ!」というまとめになってしまったが、その中でも特にパガニーニ・ヴァリがいいということである。そして、次回はこの曲に次ぐマイ・ブームであるオルガン曲について必ずや書くつもりでいる、という意気込みをみせて、今回はこれで終わり。

*楽曲情報*
作曲:1862〜65年 ウィーン
初演:1865年11月25日チューリヒ
演奏:J.ブラームス
出版:1866年1月 リーター=ビーダーマン社(2巻に分けて刊行された)
編成:ピアノ独奏
調性:イ短調

BACKHAUS The Complete British Acoustic Recordings BACKHAUS The Complete British Acoustic Recordings

この曲は、「ヘンデルの主題による変奏とフーガ」に比べて、あまり録音が多くない。技巧的にも最高のものが要求されてしまうからだろうか。
このバックハウスのものは、彼が若い頃に録音されたもので、第1巻と第2巻を切れ目なく演奏している。つまり第2巻冒頭の主題の演奏がないのだ。最近一番お気に入りのCD。