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第6回
「前奏曲」〜前奏曲とフーガ
(Präludeium und Fuge für Orgel g-moll WoO10)
■オルガンという楽器は、日本では最近こそホールが建設されればオルガンがついてくるというようなことが一般的にはなってきているが、もともとは教会で使われていた楽器だったため、日本人にとってはあまりなじみがないのではないか。雑誌「音楽の友」のコンサートガイドを見てみると、一ヶ月のうちオルガンのコンサートは月に10回あるかないか程度(首都圏のみ)。その中でブラームスのオルガン曲は一体何度演奏されるのだろうか。確率は5%程度か?? もしかしたら1%かも(笑)。ブラームスのが演奏されたとしても「11のコラール前奏曲 作品122」がほとんど。作品番号のついていない4曲のオルガン曲は、何年に一度か演奏されるような確率かもしれない。■ブラームスのオルガン曲CDのほとんどは、「11のコラール前奏曲 作品122」の他、「コラール前奏曲 イ短調《おお悲しみよ、心の苦しみよ》」、「フーガ 変イ短調」、「前奏曲とフーガ イ短調」とそして、今回取り上げる「前奏曲とフーガ ト短調」の作品全曲が収録されていることが多いようだ。なのでこの曲を聴いたことがある方も多いことだろう。作品122以外のオルガン曲はすべて1850年代半ばという、ブラームスが20代だったころに集中して書かれている。で、「前奏曲とフーガ ト短調」の『前奏曲』である。■この作品は例にもれず、ちょうどブラームスがヨアヒムと対位法の勉強をしていた頃に書かれた曲で、若い頃の作品とはいえ非常に完成度は高い。この曲は出だしから勢いがよく、聴衆をひっぱりこむような力強さがある。全体的に反復進行で音楽が進んでゆく。それはまるで抱え込んでしまっている激情を吐露しているかのようでもあるし、懺悔をしているようにも感じる。そして最後にはすべてが浄化されるような終わり方(長調に転調)。これがキリスト教(教会)音楽というものなのか。ウーン、この言い方はちょっと違うか?あんまり詳しく知らない部分に話が達してしまったので早々に切りあげ。■オルガン曲というのは通常、レジストレーション(英・仏registration パイプオルガンの演奏で、1.異なるストップを引いたり押したりすること。2.ストップをもっと意義あるよう選ぶ技術)は作曲家自身が指示しているものは非常に少なく、バッハの時代のオルガン曲は99%指示がないらしい。すべて演奏者の感性に任されているよう。ブラームスは指示しているのかと楽譜を見たけど書かれていなかった。なのでブラームスの場合も演奏者の感性に任せられているのだが、CDを2枚ほど聴いてみるとレジストレーションの大きな違いは見受けられず、どちらも似たようなものだった。少し残念。■ブラームスにとってオルガンというのは、必ずしも自分の音楽の中心として捕らえていたわけではないらしく、オルガン曲はあくまでも「勉強の成果を発揮する楽器」という枠を出ていなかったのかもしれない。それが最晩年になって最後に書き上げた作品がオルガン曲であったというのは、まさにそれ。亡くなる直前に書かれたため、きっとブラームスの音楽、人生の集大成だったはず。

*楽曲情報*
作曲:1857年2月 デュッセルドルフ
初演:1929年11月15日 Kaiser-Friedrich-Gedächtniskirche
演奏:A.Sittard
出版:1927年 ブライトコプフ&ヘルテル社
編成:オルガン独奏
調性:ト短調

THE COMPLETE ORGAN MUSIC THE COMPLETE ORGAN MUSIC
Jacques van Oortmerssen(org)

スウェーデンにあるクリスティーネ教会のオルガンを使用し、録音したブラームスオルガン作品全集。音の迫力もあり、ここで取り上げた前奏曲では、教会の残響を利用し、休符を長めに取っているところが何ヶ所かある。オルガン曲は残響が大事であることを改めて考えることができる。演奏に使われている楽譜はブライトコプフ&ヘルテル社のもの。ブラームスの生存中に発表されたオルガン作品は少なく、ほとんどは死後に出版されている。