一日でセーターが完成する編む速さとは


 自分の編む速度をもっと上げたくて、どうやったら速く編めるのかという動画をときどき探しては見ています。だいぶ前に、アメリカ式、フランス式のそれぞれで、世界一速いニッターさんたちをブログでも取り上げましたが、それも、自分が速く編めるようになるためのコツを探していたときに見つけた方々でした。

 同じように見つけた動画のなかに、“The Old Shetland Knitters Really Could Knit over 200 Stitches a Minute!”と題されたものがあります。「昔のシェトランド諸島のニッターたちは、一分間に200目以上を編めた」、このタイトルを見て目が覚める思いでした。現在の世界最速ニッターさんが一分間に118目編んで世界記録なのに、それよりもさらに多い200目って。

 この動画は、Woolly Woodlandersというブログを主催されていて、シルバニアファミリーの人形たちに着せるセーターなどをデザインしているハーゼル・ロルナ Hazel Lorna(Lovecraftに出ていた彼女のデザイナー名)さんの手によるもので、第二次世界対戦の終わりごろに撮影されたシェトランド諸島のニッターたち(おそらく職人でしょうか)の映像を紹介しています。
 白黒映像が始まる前に二冊の本から、『一分間に200目以上を編んでいた』(Cornish guernseys & knit-frocks, Mary Wright, 1979)ことや、『クラブトゥリーさん(79歳)の母親は、一日でセーターを編み上げていた』(The Old Hand-knitters of the Dales, Marie Hartley, Joan Ingilby, 1951)というエピソードが紹介され、まずあっけにとられます。そして、そのあとに流れる白黒映像を見ると、思わず「うそでしょー!?」と口をついて出てしまうような編む速さに、ただただ驚くばかり。ついつい引き込まれてしまいました。昔のニッターたちがどんな速さで、どんなふうにして編んでいたのかを知る、貴重な資料でもあります。オススメ。

 一分間に200目以上も編むということは、一秒間に3~4目は編むってことですよね。まずそれが想像できない。白黒映像で紹介されている室内で座って編んでいる全身が映っている女性、編むのがめちゃくちゃ速い。その速さを見ても信じられません。でもそれが実際に映像に記録されているんですから、本当なのですよね……。そして、これくらいの速さなら、一日でセーターが編めてしまうってことか。プロのニッター、すごい。すごすぎる。
 歩いたままで編み物をしている女性も出てきますが、どうしてそんなことができるんだ、ってくらいの編む速さ。歩くより編む方が速い。しかもこの女性は身体の前に毛糸玉をぶら下げて、そこから出している糸で編んでいます。そんな工夫、思いつかないって。
 シェトランド諸島の編み物といえば、ニッティングベルトという皮でできたベルトを腰に巻き、そこに右針を刺して固定し編む、という世界的に見ればちょっと特殊な編み方をしますが、映像にもそのベルトが映っているものもありますね。

 そして、この動画についているコメントを読むのも楽しい。投稿者たちのお祖母様方(国籍はさまざま)が、いかに速いニッターだったかのエピソードが満載で、読んでいるとものすごくときめきます。うらやましさでいっぱいです。
 以前の投稿(上記リンク)にも書きましたが、ケンブリッジのKnitting Groupで、中国人の老練なニッターさんが編み物をしているのを間近で見たときに、そのスピードに驚嘆したのですが、そのとき彼女は右針を脇の下に固定していました。シェトランドのニッティングベルトもそうですが、動画のコメント欄にも固定して編んでいたというエピソードがありましたし、どうやらそういう方が昔は多く、だから編むのが速かったのかもしれない、と思い始めました。日本にもそういう編み方をしてらっしゃる人はいたのでしょうか。知りたくなってきました。

 自分がこの高みに到達できることは絶対にありませんが、少しでも速く編めるよう、練習は続けよう、そうしよう。
 
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