アメリカ式で速く編めるようになるには


 このブログを始めたころに、以前はフランス式で編んでいたのをアメリカ式にしてフリッキングを練習したら編むスピードが上がったと書きました。

 今回は、どのようなことをしてスピードを上げることができるようになったのかを書きたいと思います。以下はすべて個人的な経験によるものなので、専門的な方法ではありません。そして、そもそもいまでもそんなにすごく速く編めるわけではないので、あくまで自分比です。現段階でもまだまだスピードアップのための編み方を模索中です。

結論を言えば、練習あるのみ

 先に言ってしまいますが、速く編めるようになるためには、楽器の練習と一緒で、地道に練習をくり返す、これだけです。
 では、何を使ってどうやって練習するのかを考えてみます。

 まず、練習のために用意するものは、下の二つです。

◎針の太さが3〜4 mmくらいの輪針
◎4 ply(中細)からDK(並太)くらいの毛糸

 4 mm以上の太い針で編むより、ちょっと細めのものが小さい動きで練習ができるので良いと思います。そして針は棒針ではなく、輪針をおすすめしたいです。輪っかにして編むことで、裏返すことなく表目だけを編み続けることができるからです。目の状態を確認しつつ編み進められるのも良い点です。平編みで裏返しても表編みをする(つまり編み地はガーター編みになる)と、針にかかっている裏目に表編みをするように針を入れるのは、表目に表編みをするように針を入れるのとは感覚が全然違うので、私はやりませんでした。また、ガーター編みになってしまうと、表目の状態を確認しづらいのも、やらない理由の一つでした。
 ただ輪っかで編むだけだと嫌気がさしてしまうかもしれないので、私はメリヤス編みだけで進むトップダウンのセーターを編みながらフリッキングの練習をしました。セーターは編めるし練習にもなるし、一石二鳥。そして、毛糸はアクリルよりも、滑りのよいウールが良いと思います。

フリッキング

 フリッキング Flickingとは、指(主に人差し指)に糸を掛けて糸の伸張(テンション)を保ちながら指で針に糸を掛けて編むことです。糸は右手の小指と薬指の間に挟み、中指と人差し指の間から糸を甲側に出して人差し指に糸を掛けるのが基本のフォームです。まずはフリッキングができるようになることで、いちいち手で掛けるよりもかなりのスピードアップが見込めます。

 まずは動画でどのように編むのかを見てみることにしました。参考にした動画はすべて英語で解説されていますが、私は英語があまり分かっていないので、ひたすら動きを目で追って、見よう見真似で動かしてみただけです。

 最初に参考にしたのは、Knitting Help – Flicking(下の動画)でした。この動画では、右で手構える針を中指と親指で支えて針の下を左側に動かすことによって先端を右側に傾け、糸を掛けやすくする、という内容です。この動画のように右針を動かすことによって糸が掛けやすくなり、ほんの少しだけ速くなりました。ただし、この動画は最初に2~3回見たきり、見返すことはありませんでした。この構えだと、糸のかけ方が私とは違いますし、糸をかけている人差し指と針までの距離がありすぎるような気がして、もう少し改善の余地があるのではないかと考えたのです。

 
 上の動画を知ったころに、シェトランド諸島のニッターHasel Tindallさんが編んでいる動画も併せて知りました。彼女はアメリカ式で最速のニッターでもあります。

速く編めるようになるには、彼女の編み方を真似するのがいいのだろうと、ゆっくりと表編みを編んでいる下の動画を見ながら指と針の動かし方を真似たりしました。そして、これが私の理想のフリッキングフォームとなりました。

 
 また、The Knitting Expat – How I knitという動画も参考にしています(下)。Minaさんの表編みでのフリッキングと針の動かし方はHaselさんのそれに近く、これも私の理想に近いものでした。この動画も何度も見返しては、自分のフォームと見比べていました。

 
 私の場合、フリッキングにまだ慣れなかった最初のころは、人差し指の第一関節と第二関節の間に糸が掛かっていました(下の写真)。糸のテンションは安定していたのですが、針と指の距離がありすぎて指を大きく動かさなければならなかったため、腕がとても疲れてしまいました。

これが嫌で、第一関節より指先、ちょうど皮膚と爪の谷間に糸を掛けるようにしたら、腕への負担がかなり減り、編むのが楽になりました(下の写真)。人差し指のどの辺に糸をかけるのかも重要なポイントなんですね。ただ、糸の位置がここで固定できるようになるのに、少し時間がかかりました。コツは、人差し指を鈎のようにすることだと思います。


 
 人差し指にかけるフリッキングのことはひとまずこれで安定したので、次は糸の送りに関係のあるところ(人差し指以外での糸の処理)をどうするのか、という問題になりました。小指と薬指に挟むのが一般的なフォームだと思います。私もそれをやってみました。しかし、これだとどうも糸が安定せず編みづらかったので、小指に糸を一周巻きつけてみました(これもよく見るフォームの一つですね)。すると、一定のテンションで安定して糸を送ることができるようになり、格段に編みやすくなりました。ただ、これだと編む目がきつくなってしまうというデメリットにも気づきました。


 

編み方のフォームをさらに見直す

 しばらくの間、小指に糸を一周巻きつけてやっていましたが、これだとかなり目がきつくなってしまうため、パターンに書かれているゲージが取れないことが続きました。原因は小指に一巻きしていることだと分かっていたのですが、これを巻かずに糸のテンションを保ち、目を揃えられるようになるまで少し時間がかかりました。小指に糸を巻かずに、薬指と小指の間に挟むだけにすると、糸の滑りがかなり良くなるため、目が揃わないわ、またゆっくり編まなければならないわで、しばらく安定しませんでした。それでも根気よく続けていくうちに手が慣れてきて、糸を一定の伸張で送ることができるようになり、編むスピードが徐々に速くなってきました。最終的には、小指に糸を一巻きしていたときとほぼ変わらないか、それよりも少し速く編めるくらいにはスピードアップができたと思います。さらに、速く編むと目が揃うようになったのもうれしい変化でした。


 

根気よく続けるのが一番の早道

 私自身の経験では、「こうなりたい」と思う自分の理想の編み方を見つけられたので、それに近づけるように編み方を見て研究・練習ができたことで、徐々に速く編めるようになったんだと思います。最初にも書きましたが、結局は「練習あるのみ」という結論です。今回、試しに自分が一分間にどれくらいの目数を編めるのが測ってみたら、だいたい51~55目くらいでした(使用糸はコットン、針の太さは3.5 mm。途中、何度か目を落としたり戻したりをしています……)。結果を見るとそんなに速いわけではないので、私が言っても説得力はありませんが、私の編み方の変遷をずっとそばで見ていた夫が「本当に編むのが速くなったね」と言ってくれているので、実際に速くなったんだと思っています。最初はとても遅かったですからね……。速く編めるようになったことで、作品を完成させるスピードも上がり、どんどんいろんなものを編めるようになりました。
 
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2件のコメント

  • ありがとうございます。

    一昨日から、練習を始めていました。20目ぐらい適当に作り目して
    けど、モタモタやってても すぐに1段が終わる。
    そうですよね、練習ばかりだと嫌になります。
    ざっと読ましていただいて(飛ばし読み^^;)
    感激してコメント入れています。
    ゆっくり、じっくり読んで、参考にさせていただきます。
    今度の冬にと、ちょっと考えてたデザインを前倒しにして編むことにします。(*´艸`*)

    • タカコさん、コメントありがとうございます。
      私も「練習」然とただ輪編み(もしくは平編み)をするだけだとやる気がでなかったので、Top-DownのシンプルなセーターをDK糸で編むことにして、そこでフリッキングの練習をしました。練習だと思えば、多少の出来の悪さにも目をつぶれますし、もし納得が行かなければほどいてまた編み直せばよし!と思って。結局、そのときのセーターは袖を編むことなく、身ごろを編んだだけで全部ほどきましたが、セーターを仕上げるという目標があっただけに、かなり集中して出来たのが良かったです。あとはひたすらいろんなものを編むことで、ようやくいまの段階まで来ることができました。
      今度の冬用に考えていらっしゃるのはセーターでしょうか。セーターは編んでいる時間が長いですし、きっと良い練習にもなると思います~!

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