5種類の増し目、見た目の比較


 Save the Childrenの袖を編み始めたことを書きましたが、編み進めていくと、増し目をする必要が出てきました。
 デザイナーさんによっては、増し目のやり方を指定してる方も多いですが、このSave the Childrenには、『~段ごとに2目ずつ増し目をする』としか書いてありません。つまり、どの増し目のやり方を採用するかは、編み手に委ねられているということです。どれにするか少し迷いました。
 それじゃあ、見た目がどう違うのかを比較して、それからどれにするか決めようと思い、全部で5種類の増し目を試してみました。左右の端が増し目をしている場所です。

YO (Yarn Over) かけ目

 「YO かけ目」という違う名前があるので、これを増し目と呼んでいいのかは分かりませんが、比較のために編んでみました。増し目というより、模様編みのように見えます。

KFB (Knit Front Back)

 KFBは、英語のパターンで編むようになって初めて知った増し目のやり方でした。最初はこんなやり方があるのか、と物珍しさもありましたが、実は個人的にあまり積極的に使いたい手法じゃありません。理由は、メリヤスのVを横切るように一本の線が入ってしまうため、見た目がどうしても気になるからです。YOと同様、比較のために編んでみました。

※追記(2021年1月27日)
 KFBにはもう一つ、Knit Front Back Alternative(またはKnit Front Slip Back)という増し目の方法がありました。これだとVを横切る線が入らないので、見た目はなかなかきれいです。

RLI (Right[-leaning] Lifted knit Increase), LLI (Left[-leaning] Lifted knit Increase) 右増し目、左増し目

 この増し目は、私が学生のころに買った編み物の本『ヴォーグ基礎シリーズ あみものホットライン ~困ったときにズバリお答えします』(日本ヴォーグ社、1991)に載っていた増し目の方法なので、日本では比較的昔から使われていたのかな、と思います。編んでいる段の下にある編み目を引き上げて編む増し目で、やり方がとても簡単。私は靴下を編むときにつま先の増し目でよく使っています。英語では、パターンで使われるような略語があるわけではないようですね。
 見た目もそんなに悪くないと思います。ただ、右増し目はきれいに見えるのですが、左増し目はちょっとイマイチ(これは私の編み方が悪いかも)。

※追記(2022年10月5日)
 この記事を書いた当初は、この増し目の英語名が分からずIncrease in stitch belowと表記していましたが、よく使われているらしい表記が分かったので、それに変更しました。
 また、下記動画を追加掲載しておきます。

RLI (Right Lifted knit Increase) 右増し目

 
LLI (Left Lifted knit Increase) 左増し目

M1 (Make 1) ねじり増し目

 この増し目は英語パターンでは頻繁に目にしますし、私もよく使います。目と目の間の渡り糸を引き上げ、左(または右)にねじって目を作り編むやり方です。
 見た目もなかなかなのですが、渡り糸をねじると、どうしてもその左右の目がつれてしまうのが、気になると言えば気になります。

M1A (Make 1 Away) かけ目とねじり目の増し目

 この増し目は、最近知りました。すでにある目を拾って作る増し目ではなく、編む糸を使って作る増し目です。作り目をするときに使うThumb Method(親指を使って糸をねじりながら針にかけていく方法)を使います(下記動画)。先述の『あみものホットライン』にも、やり方は違いますが、同じ見た目になる増し目が載っていました。M1Aの日本語訳は、この本から採りました。

※追記(2022年10月5日)
 以前載せていた動画のリンクが切れてしまっていたので、別の動画(下記)を掲載しました。

 編んだサンプルでは、親指を使った増し目の方法で編みました。左右を気にせずに試してみたので、ねじるのが同じ方向になってしまっていますが、本に載っているやり方をすれば問題なさそうです。編地がつれたり余計な線が入ったりもなく、見た目も一番気に入りました。

 ということで、袖を編むときの増し目は、M1Aを採用することにしました。
 こうやって、数種類のやり方を比較してどれを選ぶのかを考えるのは楽しいですね。
 
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