アイロンと濡れタオルを使ったスチーム・ブロッキング(スチーミング)


 
 セーターやカーディガンを編むのが好きで、ここ2年くらいはいつもどちらかを編んでいました。しかし、編んだものを柔軟剤につけたあとにブロッキングする作業はいつも面倒に思っていました。というのも、セーターやカーディガンは小モノ類に比べると圧倒的に大きくて面積が広く、伸ばしてピンで固定するにはブロッキングのための場所を取らなければならないからです。しかも、私自身はブロッキングに必要な道具は、伸ばした生地を固定するためのT字ピンをちょっと持っているだけで、それ以外は何か別の道具で代用しています。たとえば、専用のブロッキングマットを持っていないので、ヨガマットを代替品として使っていました。一時期はブロッキング用の道具を買い揃えようか迷うこともありましたが、引越しが多い生活なので、編み物関連の道具をこれ以上増やしたくないこともあって、結局T字ピン以外を購入するには至りませんでした。

 今回編んだPoetは、身ごろ全体に模様編みが施されているセーターで、ブロッキングが必須です。編み上がってすぐに着てみたら、腕が少々きつく感じたため、袖は絶対にブロッキングで広げたいと思っていました。しかし、やはりブロッキングをするだけのスペースや乾くまでに時間がかかることなどを考えるとあまり気が進まず、なにかほかに良い方法はないものかとネットで探していたら、ノルウェーの男性ニッティングユニット、アルネ&カルロス Arne & Carlosが紹介していた、アイロンと濡れタオルを使った方法が見つかりました。
 これまでも、編んだものに乾いたタオルをのせてスチーム機能を使ってアイロンをかける、という方法ならやったことがあります。ただ、これだと思うように編地を伸ばすことができませんでした。そのため、広げてピンで止めるブロッキングをやるしかなかったのですが、そのブロッキングでも十分に生地を伸ばすことができない箇所もあったり、使用しているピンが少ないと変なあとがついたりと困ることも多く、セーターやカーディガンの仕上げをどうやればいいのか、完全に行き詰まっていた私には朗報でした。

 アルネ&カルロスのビデオでは、アイロン台に編んだものを広げ、その上に濡れタオルをかぶせ、濡れタオルの上からアイロンをかける方法を紹介しています。目から鱗。編んだものを直接濡らすことで編地を伸ばすことばかりを考えていましたが、タオルを濡らして編地の上におき、スチーム機能を切ったアイロンで生地を伸ばすだけで、アイロンのスチーム機能と同じ働きをするわけです。これならば編み地に蒸気を当てることができ、十分に伸ばすこともでき、ブロッキングのように濡れた編じ地を乾かす時間も短縮でき、なおかつブロッキングのための場所を取りません。すばらしい!
 今回のPoetは、この方法で仕上げをすることにしました。
 

スチームブロッキングのやり方

 前置きが長くなりました。さっそく濡れタオルを使ったスチームブロッキングの手順を紹介します。用意するものは、アイロン台、アイロン、タオルです(ちなみに、これらはすべて借りている部屋に備え付けられていたもので、アイロン台のカバーは私の趣味ではありません……)。

タオルとアイロンを使ってブロッキングします。タオルを濡らすのでアイロンのスチーム機能は使いません

 
1. アイロンにスイッチを入れ、ダイヤルを中間くらい(3段階だったら2)または「ウール」に合わせる

2. タオルを濡らして軽く絞る

タオルは全体を水で濡らし、絞っておきます

 
3. アイロン台に編んだものを十分に広げたら、2.の濡れタオルをその上からかぶせる

4. 濡れタオルの上から1.であたたまったアイロンをゆっくりと動かしてかける(このとき、アイロンで生地をギュッと押さえつけない)。このとき、編み地はタオルからの蒸気を浴びて少し水分が含まれるので、このタイミングで編み地を伸ばして形を整え、再び濡れタオルの上からアイロンをかける

5. 身ごろ全体にアイロンがかけ終わったら、袖でも同じように濡れタオルとアイロンで伸ばしていく

6. 十分に全体をアイロンがけできたら完了
 
 アイロンの熱でタオルの水分がどんどん蒸発していくので、たとえば、前身ごろのアイロンがけが終わったら、再度タオルを濡らして絞ってから後ろ身ごろのアイロンがけを始めるなど、パーツごとにタオルを濡らして使うと十分な蒸気を編み地に当てることができると思います。
 そして、濡れタオルを使ったスチームブロッキングしたものが下の写真です。きれいに模様が出ました!


 
 スチームした編み地をピンで固定して形を整える方法もあるようですが、ピンを使わずにできる彼らの方法は単純でとても効果的だと思いました。仕上がったセーターのPoetを見る限り、十分に満足できる仕上がりとなりました。袖は専用のアイロン用道具があればかけやすいと思うのですが、なくても身ごろと同じようにアイロンをかけるだけで十分形は整います。下の写真は、アイロンをかけた後(上)とかける前(下)とを比べてみました。かける前に比べると、少し幅が膨らんでいるのが分かると思います。

濡れタオルを使ってアイロンをかけたあと、編み地が水分を含んで柔らかくなっているので、このとき手で編み地を広げて、さらに濡れタオルの上からアイロンをかけると、十分に伸ばすことができます

 
 この方法を知って、これまで十分にブロッキングができていなかったセーターやカーディガンを同じように整えてみたら、きれいに伸ばすことができ、より着やすくなりました。アイロンのスチーム機能を十分に使いこなせない私には、タオルを濡らしてアイロンを当てるこの方法が手軽でとっても良かったです。今後、セーターやカーディガンといった大モノなどを編んだときは、この方法でブロッキングすることにします。

 私が見つけたのは↓このビデオです。動画ではどのようにアイロンをかければいいのかを実際に見ることができるので、未視聴の方はぜひ。

 
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2件のコメント

  • おーyukaさん、これは有益な情報です。ありがとうございます。
    ブロッキングをこれまでさほどやってませんが(妹に編んだミトンのみ)今のカーディガンもこれから編む予定のショールもこの方法でやったら簡単に伸ばすことができそうです。うちも場所がありませんので、アイロン台を使ってやってみます。ブロッキングで多少伸ばせるという意味がわかりました。

    そしてPoetの編みあがり素敵です、おめでとうございます。じゃんじゃん着てくださいね。

    • メロンパンさん、コメントありがとうございます。
      ブロッキングっていろいろな方法がありますが、アイロンさえあれば、この濡れタオルを使った方法が一番手軽でいいですよね~。ブロッキングをすると形がきれいに整うので、ぜひぜひやってみてください!

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