輪編みでの編み込み模様で、編み始めと終わりで模様にズレができないようにする方法

輪編みで編み込み模様を編む場合、段が変わるところでの模様のズレがどうしても解決できませんでしたが、やっと解決することができました!

 
 先日、いつも楽しみに読んでいるアメリカ在住のニッターIggiさんのブログ「Amiめりか!」を拝見していたら、衝撃的な記事を見つけました。『輪編みのフェアアイルでの柄のズレ問題の対処法』(リンク先:Amiめりか!)というタイトルです。この記事が、私がずーっとぶつかっていた編み込み模様での目のズレ問題を解決してくれました。

 輪編みで編み込み模様(フェアアイル Fair Isle、またはカラーワーク Colour Work)をすると、段の最初と最後で模様にズレが出てしまいます。たとえば、昨年編んだくつ下のHollingbourneでは段が変わるところで模様に段差が出てしまい、ずっと気になっていました。しかし、そのときはどうすることもできず、結局何もしないまま仕上げてしまったので、段が変わるところの模様がひどいことになっています。

 また、同じくくつ下のPorch Lightには2色が1目ずつ交互に出てくるところがありますが、ここでは逆に段差が出ずに同じ色が並ぶというズレが生じています。

 こういったことを避けるための対処法として、段最初の目の下にある前段で編んだ目を引っ張り上げて、2目一度で編むという方法があります。結果、目が縦に長くなる「引き上げ目」となります。これはストライプ(横縞)を編む場合など同じ色の段が2段以上続く場合は非常に有効な方法です。しかし、編み込み模様の場合はこの「引き上げ目」が、模様になじまずに非常に目立ってしまうため、編み込み模様でも有用な方法だとは言い難いです。
 じゃあ、どうしたらいいのか? それを解決してくれたのは、Iggiさんのブログで紹介されていた、Modern Daily Knitting(略してMDK)にあったHow To記事です。Iggiさんがブログ記事で簡潔に内容をまとめてくださっていて、英文理解の助けとなりました(Iggiさん、ありがとうございます!)。

 どうやるのかというと、段最初で前段の目を引っ張り上げるのではなく、段最後の目で前段の目を引っ張り上げて2目一度で編み、さらにその目を、次の段で最初の色となる糸でもう一度編むのです。引き上げ目の上にもう一度表目を編むので、こうすることで目の辻褄を合わせています。画期的!
 この方法で編んだ結果が、一番上の写真です。Porch Lightのように同じ色が並んでおらず、きちんと交互に色が出ているのが分かると思います。このサンプルが編めたとき、段が変わるところで模様がキレイに出て大興奮! とにかく感激しきりでした(あまりにも興奮しすぎでIggiさんの記事にご迷惑をおかけしてしまいました……)。
 
 では、やり方を書いておこうと思います。最後には、私なりに工夫したところがあるので、それも書いておきます。

輪編みでの編み込み模様で、模様にズレができないようにする方法

 サンプルは、メインカラー(MC)青と、コントラストカラー(CC)白を1目ずつ交互に編む模様です。

1. 編み込み模様のチャート通りに、マーカーの1目前(段の最後の目が左針に残っている状態)まで編みます。そして、この目の下(下の写真で右針を入れている前段の目)から右針で目を引っ張り上げ左針にかけたら、模様チャート通りの色の糸(この場合はCCの白)で、最後の目とともに2目一度を編みます。

前段の下の目を後ろから前へすくい、左針にかけます

 
パターン通りの色の糸で2目一度をし、これを再び左針に移したところ

 
2. 1.で編んだ目を右針から左針へ移したら、次の段で最初の目となる色の糸(この場合はCCの白)でもう一度表目を編みます。

このとき、最後の目と次段の最初の目が同じ色になる場合は、下の写真のように、もう一つの色の糸と交差させておいてから編みます(サンプルの場合、MCの青い糸をCCの白い糸の下を通って上にくるよう交差させておく)。こうしておくことで、もう一つの色の糸(青)が編んだ糸(白)を包[くる]んだことになります。

1.で編んだ目をもう一度表目で編むとき、最後の目と次段の最初の目が同じ色になる場合、ここで糸を交差させておき、糸を包んでおきます。逆に、最後の目と次段の最初の目が違う色の場合は、交差させる必要はありません

 
3. マーカーを移して、編み込み模様の次の段をチャート通り(この場合、次の段で最初の目となるのはCCの白)に編み進めていきます。

あとは、編み込み模様の毎段最後で1.と2.をくり返していくだけです。

 MDKの記事では、2.に書いたように、もう一度目を編むときに糸を交差させておくと書かれていますが、これだと毛糸玉も交差して、その都度絡まないように毛糸玉を動かさなければならず面倒に思っていました。そのため、私は1.にある2目一度を編むさいに、渡り糸を編みくるむのと同じやり方で糸を交差させてから編むことを思いつき、やってみたところ問題なく編めました。これだと毛糸玉を動かす必要がないため、たぶん、こっちの方が良いのではないかと思っています。

前段から引き上げた目と最後の目を2目一度するときに、渡り糸を包[くる]む方法で糸を交差させた方が、余計な手間がかからず便利です

 
 以上です。
 このサンプルは単純な編み込み模様だったので、もう少し複雑なくつ下のHollingbourneの模様を、この方法で編んでみることにしました。その結果、こうなりました。赤い線の右側が最後の目です。

 上に載せた、Hollingbourneのひどい模様のズレとは大違い。段差といったズレもなくキレイに模様が入っています。すごいな、この方法!

 これは輪編みでの編み込み模様で非常に有用です。良いこと知った! これから輪編みで編み込み模様を編むときはいつもこの方法を使おうと思います。
 Hollingbourneは模様のズレだけでなくいろいろと失敗もしているので、この方法を使って編み直そうと心に決めました。すぐじゃないけど。
 
※2023年2月24日追記

 MDKでのHow To記事を、執筆者本人であるPattyさんが編み込み模様のズレ解消について解説・やり方の説明をしている動画がありましたので貼っておきます。非常に丁寧に説明されててとても分かりやすいので、始める前に一度見ておくといいと思います。ちょっと長い動画なので、「とにかく、どうやるのかを見たい!」という方は、当該説明が始まる8:57あたりから再生するといいと思います。

※2023年3月5日追記

 この方法をブログで紹介してくださっていたAmiめりか!のIggiさんも試されたそうで、やり方だけでなく、このやり方で気をつけなければならないことなどを、たくさんの工程写真でとっても分かりやすくレポートされています。おすすめです。


 
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4件のコメント

  • Yukaさん、早速見に来ました!ほんとにキレイに揃いましたね!ブログ紹介いただいてありがとうございました😊私も実際試すときは渡り糸をくるむワザ、使わせていただきたいと思います。

    私もMDKさんで見て、これは筋が通る!と思ったけど今夫のカーディガンに掛かりきりだったので紹介しかできなかった所、Yukaさんが実証して分かりやすい記事にしてくださって嬉しいです!

    • Iggiさん、コメントありがとうございます。
      ちょっとバタバタしていて、記事を掲載したお知らせができず、大変失礼しました。本当にすみません……。

      Iggiさんのブログを拝見してすぐに試してみたくなったので、いま編んでいるのを放ってすぐに編んじゃいました(笑)。本当に模様にズレができなくて、大感激です。Pattyさんが編んだような、段の最初と最後が分からないような編み地にするには、まだまだ修行が必要ですが……(Pattyさんは記事で「ブロッキングすればすべて解決」って書いていますが、ブロッキングしても私の場合は無理でした)。
      Iggiさんが記事にされるのも、すごく楽しみにしています!

  • いえいえタイトルを見つけて「キター😆」とひとり盛り上がってました!

    Pattyさんもテンション具合は少し練習がいるかもとも言っていたので、コツがいるっぽいですね!カーディガンは長丁場だしちょっと中断してやってみようかしら(早く試したいw)

    • ぜひ息抜きにでもやってみてください。思わずニヤニヤしちゃうこと、請け合いです(笑)。このコツがつかめたら、何だか編み物無敵モードに入れそうな気がします!
      カーディガン、すごく素敵に編めてますね! 出来上がりが楽しみです~。

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