もう1種類の増し目 ~KFB AlternativeまたはKFSB


 以前、5種類の増し目を比較した記事を書いたことがありました。

 この記事で比較した増し目は、かけ目 Yarn Over、KFB (Knit Front Back)、増し目 Increase in stitch below、ねじり増し目 Make 1、かけ目とねじり目の増し目 Make 1 Awayの5種類でした。増し目はこの5種類(1つはかけ目ですが)が一般的なやり方だろうと思っていたのですが、先日もう1種類のやり方を知り、覚えたので、新しく知った増し目の見た目を確認しようと思います。
 

Knit Front Back (KFB) Alternativeとは

 そのやり方は、英語では一般的にKnit Front Back (KFB) AlternativeまたはKnit Front Slip Back (KFSB)と呼ばれています。
 alternativeの意味を、改めて辞書で確認してみました。

2〔…に〕代わるもの,もう一つの手段[方法];〔…の〕代案〔to〕
引用元:ジーニアス英和大辞典(大修館書店)

 このKFB Alternativeとはつまり、KFBのもう一つの編み方ということになりますね。

 どんな見た目なのか。下記の写真の通りです。

 この方法を紹介している人たちは、私も以前に書いたように、KFBでは表目のVを横切るように線が一本入ってしまうことを指摘していて、KFB Alternativeなら横切るような線も入らず見た目がキレイであることを説明していました。国が違っても、みんな思うことは同じなのね。
 確かにVを横切る線もなく、見た目もかなりキレイです(自分の編み目は汚いですが……)。
 

Knit Front Back (KFB) Alternativeのやり方

 途中まではKFBと同じです。
 まず、表目を編みます。このとき、左の針から編んだ目を外さないようにします。

 KFBを編むときのように、左針にできている輪のなかへ右針を通します。

 そのまま左針から目を滑らせ外します。たったこれだけです。KFBは左針にできている輪のなかへ右針を通してからもう一度表目を編みますが、KFB Alternativeは編まずに目を滑らせるだけ。簡単。


 

KFBとKFB Alternativeの見た目の比較

 下の写真は、右側がKFBで、左側がKFB Alternativeで増し目をしたものです。見た目が全然違います。好みもあるでしょうが、やはりKFBの目を横切る線が気になるため、個人的にはKFB Alternativeの方が好きです。

 下記の動画は、KFB Alternativeのやり方を解説するだけでなく、KFBとの見た目の比較もしています。

 

KFB Alternativeを編んでいて気づいたこと

 KFB Alternativeは、ちょっと凝ったやり方をしているように思いますが、よく見てみれば、編んだ目の左端を右針に引っ掛けているだけだと気づきました。
 さらに、このやり方は、以前増し目の比較をしたときに編んだIncrease in stitch below(増し目)の右増し目のやり方にそっくりであることにも気づいたのです。

『ヴォーグ基礎シリーズ あみものホットライン ~困ったときにズバリお答えします』(日本ヴォーグ社、1991年、40ページより引用)

 引っ掛けるのが目の右端なのか左端なのかの違いでしかありません(右増し目は引っ掛けた目を編みますが、KFB Alternativeは目を引っ掛けるだけ、という違いはありますが)。以前の比較記事にアップした増し目の写真をこちらにも載せておきます。右側が上記のやり方で編んだ右増し目です。

 なるほど。構造を知れば、その見た目も納得です。

 増し目の方法に、KFB Alternativeが選択肢の一つとして加わったので、今後いろいろと幅が広がりそうです。とてもうれしい。ただ、KFB Alternativeを知ったことによって、よほどのことがない限りは、KFBを使う機会がますます減りそうです(むしろなくなってしまうかも)。

 
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