いまさらですが、毛糸の太さについて その2 ~WPI Tool Kit
前回の投稿で、ものすごく簡単に毛糸の太さについて書きましたが、最後に『番手』について触れたことで、以前購入したWPI Tool Kitを思い出しました。
番手で太さの判断をするのとはちょっと違うかもしれませんが、WPI Tool Kitは糸の太さを知ることができる道具なのです。今日はそのことについて書いてみようと思います。
番手についてはまだまだ勉強中なので詳しくはありませんが、糸の長さを重さで割って、そこで出た数値から番手を知ることができるようです。しかし、いろんな要素もあるようで、残念ながら私はまだよく理解できていません。
番手を調べていたときに見つけた、編物研究家の方がお書きになっているブログ『佐倉編物研究所』の次の記事がとても興味深かったです。メーカーによって定義が違うらしい糸の太さを何で判断するか、というお話しです。
メーカーによって糸の太さの表記が異なるので、ラベルに必ず書かれているゲージと針から判断すればいいというのは、理にかなっていますよね。なるほど。いままでは、糸を購入するさい、糸の太さで探していることがほとんどでしたが、これからは、もっと商品詳細に書かれているゲージや適正針についても必ず目を通そうと思います。
この記事に書かれていますが、編み物のレース検定の本が番手について詳しいそうなので、いつか手に入れたいです。
さて、今回取り上げるWPI Tool Kitについてです。
WPIとはWraps Per Inchの略で、WPI Tool Kitは1インチごとの糸が何巻きかで糸の太さを知ることができる、棒状の道具とカードがセットになったものです。毛糸を棒に巻きつけて、対応表(Knit-Kard)で確認すれば、太さだけでなく、1インチのゲージや編み針やかぎ針のサイズを簡単に知ることができます(糸を巻きつける棒の直径は8 mmをほんの少しはみ出るくらいなのですが、これは何から算出された直径なのかは分かりません)。
まだ糸と編み物の専門店Mooritが、東京のKitteにあったころにお店で購入しました(オンラインショップを確認しましたが、残念ながら現在は扱いがないようです)。この道具は、もともとNancy’s Knit Knacks LLCというところが出していますが、会社のウェブサイト内に商品紹介ページが見つからなかったので(Knit-Kardsのページで少しだけ紹介されています)、この商品を扱っているお店のリンクをはっておきます。→ WPI Tool Kit
たまたま、太さが明記されていない古い毛糸があったので、試しにこれの太さを測ってみることにしました。この毛糸は、倉敷紡績株式会社(現在のクラボウ)が出していたスキーヤーンシリーズです。古い糸というとこのスキーヤーンシリーズをよく見かけるので、昔は一般的で買いやすい糸だったのだと思います。これは母が若かりしころ買ったもので、以前送ってもらいました。
モヘアが50%入っているからか、糸がふわふわしています。推奨編み針がJPN 5号(3,6 mm)~6号(3,9 mm)、標準ゲージが24目33段となっています。これを見ると、4 plyや中細かなと判断できます。
糸の見た目は明らかに4 plyや中細ですが、WPI Toolで測ってみたらどうなるでしょうか。
WPI Tool Kitの使い方
この糸を巻きつける木製の棒状の道具を使います。棒には1インチごとにメモリがついています。
棒の片側に溝があるので、ここを使って糸を引っ掛けます。
糸を1インチのところまで巻きつけます。このとき、糸を引っ張りすぎてきつくしないようにするのが重要です。
巻きつけた回数を数えてみると、21巻きでした。
Kitに同梱されているWPI Knit-KardにあるWPI欄を確認します。下記にWPIのデータを書き出してみます。
Yarn Weight | Lace | Finger | Sport | DK | Worsted | Heavy-Worsted | Bulky |
---|---|---|---|---|---|---|---|
WPI | 35+ | 19-22 | 15-18 | 12-14 | 9-11 | 7-8 | 6 or less |
21巻きは、Fingerサイズ内でした。しかし、カードにあるゲージ情報を見ると、上記毛糸のラベルにある標準ゲージより目数が多く、推奨編み針もサイズが細いため、Fingerより太く、Sportよりは細い4 plyかな、と判断できました。そのため、もしこの糸を使って何かを編むときは、4 plyを使ったパターンを探せば良いことになります。
ほとんど毛糸のラベルには糸の太さが書かれているため、普段このWPI Tool Kitを使うことはありません。しかし、先述のようにメーカーによって糸の太さの定義が違うかもしれないことや、今回の糸のように太さがラベルにない、またはそもそもラベルがない毛糸(リサイクルショップでたまに見かける)を手に入れたときなどに、WPI Tool Kitが活躍しそう。これを買った当時は、よく分からずに棒がなんだかステキで購入を決めたものでしたが、ここにきて開眼した気分です。便利。
なお、Etsyでは、WPI Tool Kitではない、WPIを測るためのいろんな形状の道具が販売されています。参考までにリンクをはっておきます。 → WPI (Etsy)