日本国外からパスポート申請をオンラインでするさいの注意事項などの備忘録(海外在住者向け)


 用事があって、年内中に一時帰国をする必要が出てきました。
 そういえば……とパスポートを確認してみたら、有効期限が一年を切っており、下手したら一時帰国からドイツへ戻ってきたさいに入国できない可能性も考えられるため(ドイツ入国時点で残存期間が3か月は必要らしい)、それはマズい! ということで、ドイツでパスポートの申請をすることにしました。『ドイツで』とは言っていますが、もちろん申請するのは日本のパスポートです。海外在住者は、その国にある日本大使館や総領事館で日本のパスポートを申請することができるのです。

 私よりも先にドイツでパスポート申請をしたことがあった夫を見ていたので、できることは知っていましたが、10年近く前のことなので、手続きがいろいろと面倒だった記憶も。それは置いておいて、ひとまず、どんなことをすればいいのかを確認してみたら……なんと! オンラインで申請ができるようになっていました! これにはびっくり。さっそくオンラインで申請しちゃいました。いやー、便利な世の中になったもんです。

 実はまだ申請したばかりで、新しいパスポートを受け取れていないのですが、今回は、切替新規のパスポート申請をオンラインでしたときのことを振り返り、自分の失敗談を交えながら注意事項などなどを書き残しておくことにしました。いろいろと注意事項を書いていたら、かなり長くなってしまいました。
 なお、この記事は2023年9月7日の段階で書いたものなので、以後、仕様が変更される可能性が大いに有り得るので、その点はご了承ください。

 どのようにオンラインでパスポートの申請をすればいいのかは、外務省作成のパンフレット(PDF)に書かれています(下記)。おおよその流れを知るためにも、申請前に一読することをおすすめします。

国外からのオンライン申請の利用案内パンフレット(リンク先:外務省)
 

まずは「在留届電子届出システム(ORRnet)」にログインできる利用者IDとパスワードを用意

 在留届は、海外で3か月以上在留する人は、在留地を管轄している大使館または総領事館へ提出を義務付けられています。ゲッティンゲンへ引越してきて、住所が決まり、住民登録もできたあと、管轄の総領事館(ゲッティンゲンはハンブルク総領事館)へすぐに在留届を提出しました。以前ドイツに住んでいたときは、書類での提出だけだったのが、このとき(2021年)すでにオンラインで在留届を出すことができたため、それを利用しました。そのため、私自身はすでにオンラインでのパスポート申請に必要な、「在留届電子届出システム(ORRnet)」の利用者IDとパスワードを持っていました。

在留届電子届出システム(ORRnet)(リンク先:外務省)

 もし利用者IDとパスワードを持っていなくても、管轄の総領事館に在留届を提出していれば大丈夫なようですし、在留届を出していない場合でも、オンラインで提出するだけで自動的に利用者IDとパスワードは手に入れることができます。
 

用意したもの、準備したこと

 私の場合、用意したものや、準備したことは以下の通りです。

1. 現在有効なパスポート
2. カメラ、NFC(Near Field Communication)対応のスマートフォン
 ※私が使用したのはiPhone SE2
 ※ケースに入れている場合は、ケースから出しておくと吉
3. 自分の顔写真のデータ(もしくはその紙)
 ※スマートフォンで撮影
 ※用意していなくても、申請途中で撮影は可能
 ※紙で用意している場合はスキャンしたデータを規定に則って用意する
4. 自署名を撮影したデータ(もしくはその紙)
 ※白地に黒いペンで書いたもの
 ※スマートフォンで撮影
 ※用意していなくても、申請途中で撮影は可能
5. 専用アプリ『パスポート申請(海外在留邦人用)アプリ』
 ※App Store(iPhone用)
 ※Google Plya(アンドロイド用)
 ※スマートフォンに合わせてダウンロードしておく

6. ドイツの滞在許可証
7. 本籍地の住所
 ※事前に確認しておくと吉

8. 【重要】スマートフォンの設定を、地域を日本、使用言語を日本語にしておく
 ※事前に変えておくと吉
 
 以上です。こうやって書き出してみると、結構いろいろと準備が必要です。

 これらはあくまでも、ドイツ在住である私が今回準備したものです。状況や人によって準備するものが違ってきますので、外務省の下記ページで確認を。

国外からオンライン申請をする(リンク先:外務省)
 

『パスポート申請(海外在留邦人用)アプリ』が曲者

*私はiPhoneユーザーなので、それを使って起きたいろいろのことを書いています。

 このアプリ、かなりの曲者です。一度使えば分かりますが、何も知らないでアプリを使うと、ほぼ確実にエラーメッセージが出てくると思います。ここでの注意点は、下記の2つです。

注意事項1:スマートフォンの設定を、地域を日本、使用言語を日本語に
 先述の「用意したもの、準備したこと」の8.で書いたとおり、申請に必要な『パスポート申請(海外在留邦人用)アプリ』を使うためには、設定で地域を日本、使用言語を日本語にしておかないと、アプリを立ち上げることができずにエラーが出てしまいます。そのため、スマートフォンの設定を日本・日本語以外にしている場合は、必ず申請前に日本・日本語に変えておきましょう。私は申請時の使用言語設定が英語だったので、エラーが出てしまいました。イラッとしましたが、でも、これはまあギリギリ分かる。日本人なんだから、日本語使おうよってことだろうと。

注意事項2:このアプリは、単体で使うことはできない
 このアプリで一番分からないのは、このアプリ単体では一切使えない点。ちょっと信じられませんでした。いざパスポート申請をしようと思ってこのアプリを立ち上げても、「本アプリは、在留届(ORRネット)を通じた旅券の電子申請時のみ起動できます。ホーム画面からは起動できません。」とエラーメッセージが出て、使うことができないのです。
 このアプリを立ち上げるためには、ブラウザを使ってORRネットへ利用者IDとパスワードを入力しログインしたあと、在留届メニューから海外旅券電子申請システムを選んで、初めて自動的にアプリが立ち上がる仕組みです。ややこしい!

在留届電子届出システム(ORRnet)(リンク先:外務省)

 アプリが立ち上がったら、『パスポート顔写真ページの読み取り』、『パスポートICチップの読み取り』、『顔写真(パスポート用)の撮影』、『自署(ご自身のサイン)の撮影』、『申請者情報の入力』をやっていきます。
 
 なお、App Storeでの評価がめちゃくちゃ低い『パスポート申請(海外在留邦人用)アプリ』ですが、2023年5月下旬にカメラ機能の改善や軽微な修正対応をしたからなのか、評価に書かれているような大きなエラーはなく申請することができました。地域・言語を日本・日本語にする必要があったり、アプリ単体では動かせないなどは変わってないけどね。
 

パスポートの顔写真ページとICチップの読み取り

 ここでの注意事項は、スマートフォンにカバーを付けている場合は、カバーから出しておくことです。

 まず、顔写真のあるページ(顔写真のほかに、本人のサイン、パスポートの有効期限などが書かれているページのこと)を撮影します。これがうまく行ったら、あっという間に画面が切り替わり、パスポートのICチップが埋め込まれているページを開き、スマートフォンをかざし情報を読み取るよう促されます。私は革製のケースを付けたまま読み取ろうとしたため、最初はまったく読み取りができませんでした。ケースを外してスマートフォンをかざしてみたら、ICチップを読み取ることできました。なお、読み取りには多少時間がかかります(画面にはデータ読み込みの進度が表示されます)。
 

自署名と顔写真は、事前に撮影しておくことが可能

 署名も顔写真も、申請手続き中にその場で撮影したものを使うことができるようになっていますが、事前に撮影したデータを使うことも可能です。

 とくに顔写真は、できるだけ準備を万全にして撮影した画像のなかから厳選したものを使おうと思い、私は『美肌証明写真』というアプリを使いました。画面に証明写真用のガイドがあるので、それに合わせて撮影するだけです。なお、撮影後、肌の色や明るさなどを自分で好きに調整できるようにもなっています。夫に何度も撮影してもらって、その中から選んだ顔写真を使いました。

 署名の撮影は、下記ページに詳しく書かれているので、それを参考にその場で撮影したデータを使いました。下記ページでは、A4サイズ(210×297 mm)の紙を使えば影が入りづらいと書かれていましたが、私はA6サイズ(105×148 mm)の紙に署名を書いたものを撮影しました。このとき、昼間に自然光が入る窓に向かって署名を書いた紙を置き、影が入らないよう撮影しましたが、まったく問題ありませんでした。

オンライン申請における自署画像の注意点(リンク先:外務省)

 なお、署名も顔写真も、規定にあったものであるかどうかはその場でアップロードしたものを判定してくれるので、OKが出るまでやり直しができます。
 

申請者の情報を回答・入力していく

 ここでの注意事項は、入力できない文字・記号がある点です。

 「在留届電子届出システム(ORRnet)」を利用してログインしているため、基本情報(名前や生年月日など)は自動入力されて表示されますが、自分で入力しなければならないものがいくつかあるので、それについては、書かれているとおりに入力・回答していけば問題ありません。

 ただ、現住所の入力に結構手こずりました。というのも、ドイツ語の単語に出てくるウムラウト(ä, ö, ü)やエスツェット(ß)だけでなく、ハイフンやピリオド、カンマ、改行もダメで、思っているように表示されないばかりか、それらが無効になった状態で表記され(たとえば、改行を入れると、確認後には直前の単語の最後と次の単語がくっついている)、申請内容を確認する段で入力内容に何度もエラーが出てしまったからです。本当に何度やり直したことか……。

 たとえば、ゲッティンゲンにある新市庁舎の住所を入力しようとしたとします。住所の表記は、

Hiroshimapl. 1-4
37083
Göttingen

というように、通り(広場)名と番地、郵便番号、町名を改行して表記します。または、一行で書くなら、

Hiroshimapl. 1-4, 37083 Göttingen

となります。
 しかし、ここで使われているハイフンやカンマ、oウムラウト(ö)はエラーとなって再入力を促されてしまうのです。

 そのため、ウムラウトはae, oe, ueで、エスツェットはssと表記して、ハイフンや改行は半角スペースを使ってなんとかOKでした。こういうところが、融通がきかないというか、日本っぽいというか、なんというか……。

 もしかしたら、ウムラウトがある場合は、ウムラウトなしのアルファベット(たとえば、Göttingenと表記するところをGottingenとする)で書いても良かったのかな……? この辺のことはよく分かりません。
 

重要! ドイツの滞在許可証の撮影と本籍地の入力を忘れずに。そして、申請内容を修正・訂正したときは最後に「申請する」ボタンを押す

 ここでの注意事項は二つあります。

注意事項1:ドイツの滞在許可証の撮影と本籍地の入力を忘れない
 一通り、データのアップロードと入力・回答をして、申請を終了すると、申請を受付たとのメールが届きました。しかし、申請手続きをした二日後に、申請内容に不備があったと『申請内容修正の依頼』メールも届きました。そこには、「その他添付書類1」「その他添付書類2」でドイツの滞在許可証の表と裏を撮影した写真データを添付することと、「通信欄」には本籍地の都道府県(←都道府県名だけは自動入力されていました)に続く市区郡以下の地名を入力するよう書かれていたのです。
 これ、事前にどっかに書いてあったのかなあ。申請に間違いがあったらいけないと、かなり慎重に画面を読んでいたはずなのですが……気づかなかったよ。いずれにしても、私がどこかで読み落としていたのでしょう。
 それは置いておいて。修正依頼メールを受け取ってすぐに、滞在許可証の表と裏を撮影して添付し、本籍地の地名を書き足して訂正しました。

注意事項2:申請内容を訂正したら、必ず最後に「申請する」ボタンを押す
 申請内容を修正・訂正したら、必ず画面下までスクロールしていって、「□申請する」の□にチェックを入れて、申請ボタンを押さなければなりません。そうしないと、修正・訂正内容が反映されません。この記事を書くのにログインしてみたら、最後の申請ボタンを押していなかったために、申請したデータが修正・訂正されておらず、訂正待ち状態のままになっていました。つまり、申請できていなかったのです。このことに気づかずにいたら、いつまで経ってもパスポートを受け取ることができなかったかもしれません。危ない危ない……。
 訂正して再度申請されていれば、申請を受付けたとのメールが必ず届くので、届いていない場合は、ORRnetへログインして確認してみましょう。
 
 
 ふー。これでようやくオンライン申請が終了しました。ちょっと大変でしたが、お金をかけて遠い総領事館へ行くことを思えば、大したことはなかったですね。
 
 
 ……と、この記事を書いていたら、審査が完了し、受け取れる日にちと期限が書かれたメールが届きました。やったー!

 パスポート発給については、本人が申請した在外公館へ出向き、自身で受け取る必要があります。発給にはパスポート代の支払いをしなければなりませんが、今年(2023年)からクレジットカード払いができるようになりました。これもうれしい! その場合は、受け取りまでにクレジットカード情報の登録が必要です。これを登録したあと、パスポートの交付と引き換えに決済が完了するのだとか。さっそく手続きしちゃおうっと。それが終われば、あとは交付予定日以降に総領事館へ取りに行くだけです。

 ちなみに、パスポートの受け取りにも期限があって、交付予定日から6か月以内に受け取らなければなりません。この期間を過ぎてしまった場合、パスポートは失効となり、失効後5年以内に次のパスポートを申請した場合、通常より高い手数料になってしまうんだそうです。
 
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