Lana GrossaとSandnes Garnのパターンブックレット、レヴュー


 先日購入した、ドイツの毛糸メーカーLana Grossaが出しているセーターのパターンのブックレットと、ノルウェーの毛糸メーカーSandnes Garnが出しているセーターのパターンのブックレットについていろいろと書いてみます。

 書店などで流通している『書籍』またはムックのような『雑誌』の形態をしている場合、編み物のパターンが複数掲載されているのが一般的です。今回購入したパターンが一種類だけ掲載されている『ブックレット(小冊子)』または綴じのない『リーフレット』の形態は、毛糸メーカーが出していることが多く、これらは書店ではなく毛糸や手芸用品を扱う専門店に流通していると思います。こういったブックレットやリーフレットに印刷されたパターンは、個人的な経験でいうと、どちらもイギリス在住時にイギリスの毛糸メーカーRowanが出していたのを見たのが初めてでした。そのときはとくに気にもかけていなかったのですが、何となく「こういうものもあるのか」と記憶に残っていました。
 
 英語パターンは使い始めたころに比べるとずいぶんと慣れましたが、ドイツ語パターンはまだまだかなり不慣れ。これまで、くつ下やネットバッグといった小物をドイツ語パターンで編んだことはありましたが、セーターやカーディガンといった着るものは、ドイツ語パターンでまだ一度も編んだことがありません。そのため、これを絶対編みたい!という意欲が持続するものでないと、せっかく買っても編まないまま終わることも充分に考えられるので、そういうのを探しました。その結果、Lana GrossaのIlaria Shirtと、Sandnes GarnのSpencer Sweaterという二つのパターンを編んでみたいと思い買った次第です。どちらもトップダウンで編む(ドイツ語ではvon oben nach unten gestricket)セーター。こういった編み物のパターンのブックレットを購入するのは今回が初めてです。
 

Lana Grossa – Beloved Knits Collection


掲載パターン:Ilaria Shirt(ボーダーと無地との二種類掲載)
頁数:16
判型:A5(14.8 × 21 cm)
製本:中綴じ
価格:€ 4,95(オーストリアでは€ 5,50、スイスではCHF 6,90)
公式サイト:Lana Grossa [Anleitungs]Shop
Beloved Knits Collection一覧:Strickanleitungen(リンク先:Lana Grossa Shop内)

 いつオープンしたのかは不明ですが、上記公式サイトにある説明によると、このBeloved Knits Collectionの個別パターン販売は始まってまだそんなに時間が経ってないようです(2024年5月現在)。少なくともパターン販売のサイトがオープンしたのは今年に入ってからかもしれませんね。
 このコレクションは、Lana Grossaのスーパーバイザーでもあるドイツで有名なニットデザイナーTanja Steinbachさんの手によるもので(ただしものによってデザイナー名が書かれていたりいなかったりするので不明な部分もありますが、少なくとも彼女の名前で出ているパターンは現在11パターン)、基本的には輪で編んでいける縫い目のないセーターや、サマーシャツといったものが主軸のようです。パターンは私のように店頭では冊子で購入することもできますが、上記のオンラインショップでデジタルデータを購入することも可能になっています。

 このブックレットは、上質紙を使っているため、弾力があってしっかりしているので、ちょっとやそっとではへこたれないでしょう。製本は中綴じと呼ばれる見開き中央を針金で綴じたもので、開いて平らにすることが容易にできるため、このブックレットを開いたまま置いて編むことができます。これがどんなに親切な作りかは、厚い編み物本を持っている人なら誰でも分かるはず。すごく使い勝手が良さそうです。
 ページ数が16ページと冊子が薄い上に、判型がA5と小さいので、持ち運びにも便利だし、外で編むのにも使いやすいのではないでしょうか。

 ブックレット内にあるQRコードを読み込むと、デジタルパターンの販売ページに行くことができ、そこに用意されている編み方の動画(たとえばIlaria Shirtだったら、ドイツ式ショートロウのやり方と、M1LとM1Rのやり方)を見ることができるようになっています。いまやこうやって動画が用意されていて、そこへ簡単にアクセスできるQRコードがあるのは当たり前なんですね。
 

Sandnes Garn Collection


掲載パターン:Spencer Sweater
頁数:16
判型:B6(12.6 × 17.6 cm、本来B6の短辺は12.5 cm)
製本:中綴じ
価格:不明(購入したときのレシートが見当たらず……たぶん€ 4くらいのハズ)
公式サイト:Sandnes Garn(英語)
Sandnes Garn DIY(2024年3月リリース、英語):DIY(リンク先:Sandnes Garn内)

 ノルウェーの毛糸メーカーSandnes Garnも、単品が掲載されたブックレットを、どうやら今年2024年から販売が始まったみたいですね。複数のパターンが掲載されている冊子はこれまでにもあったようですが、単品掲載は新しい試みなんだとか。
 いつも行っている毛糸屋さんではこのブックレットを単品で販売していましたが、ブックレットの後ろには『Sandnes Garnの毛糸とセットでのみの販売』と書かれていました。Sandnes Garnを扱うドイツのいくつかのお店では、たしかにブックレットはセット販売のみ、というところがありました。でも、私がこれを購入したお店やほかのところでは単品でも購入できるみたいで、その違いについてはよく分かりませんでした。単品で買えればラッキー!くらいの感じでいいのかも。

 ブックレットの判型はB6と、Lana GrossaのA5よりもさらに小さいですが、文字は逆にSandnes Garnの方が少し大きいです。組版はどちらも見やすく工夫されていますが、Sandnes Garnの方がおしゃれな感じです。紙はそこそこの厚みはあるものの、Lana Grossaと比べるとちょっと薄いので少し心許ない気もしますが、それでもペラッペラではないのである程度は丈夫そうだし、プロジェクトと一緒に持ち運ぶのにも問題なさそうです。Sandnes Garnのブックレットは、中に掲載されているQRコードを読み込んでリンク先に行くと、デジタルデータも手に入れることができるため、さっそくダウンロードしてクラウドに保存しました。ブックレットを買った人なら同時にデジタルデータも手に入るので、もしブックレットがダメになっても、データがあれば安心です。
 
 
 Ravelryをはじめ、編み物関係のオンラインショップなどで、もともとパターンのデジタルデータを単品で購入することをしていたせいか、それが紙(ブックレット)に変わっただけだと考えると、とくに何の違和感もありません。ただ、デジタルだけでなく、あえて紙版も出す、しかも単品掲載というのは、いまの時代にはちょっと珍しいような気がします(私が知らなかっただけかもしれませんが……)。そして、どちらのメーカーも最近になってパターンブックレットとして、紙の発売が始まったというのが同時多発的でおもしろい。これからも注目していこうと思います。
 
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