編地に刺繍を


 いま編み進めているアームウォーマーAibhilin(英語でArm Warmerと言っても通じず、編みかけを見せたら、それはハンドウォーマー Hand Warmerだと言われました。知らなかった……恥。たしかにRavelryではFingerless Gloves/Mittsのくくりですね)が仕上がるのに、あともうちょっと掛かりそうです。早く使いたいので、急げ。
 

 さて、今回は編地に刺繍をすることについて、書いてみようと思います。

 私が子どものころは、編地に刺繍がほどこされている子ども用のセーターやカーディガンをよく見かけたように思います。この刺繍がされているセーターやカーディガンを着ている子を見かけると、裕福なお家の子なのかしら、と思っていました(幼いころの偏見ですね……)。自分が成長するにつれ、私のアンテナが見向きもしなかったせいなのか、こういった編地に刺繍をしたセーターやカーディガンをあまり見なくなりました。
 ドイツに住むようになり、編み物を再開したある日、編み物作家の三國万里子さんがほぼ日で紹介されたので、その記事(下記リンク先)を読んでいたときのことです。

三國万里子の編み物の世界 担当編集者が語る、三國さんのこと(前編)

 三國さんの本を担当されている編集者の方が手にしていた、三國さんから送られてきたという、刺繍をほどこした編地を紙に縫い付けたはがきの写真があり、幼いころに見た刺繍されたセーターやカーディガンについての記憶の蓋が開いた感覚がありました。「そうか、編地に刺繍をしてもいいんだ!」と思った自分にも驚きました。小さいころに見ていたはずなのに、ずーっと忘れていたんです。
 そして、この体験が忘れられずにいました。

 以前、「いままで編んだもの」の一つとして紹介した、Purl SohoのLightweight Raglan Pulloverが完成したときはうれしくて、気に入ってよく着ていました。

 しかし、大変気に入っていたセーターでしたが、一つだけどうしても気になるところがありました。それは、どちらが前なのか後ろなのか、その判別がしづらかった点です。いまだったらHand Knittedのタグ(リボン)を付ければそれで問題解決ですが、このころはまだ持っていなかったときだったので、着るときはいつも裏を返して端糸の処理がどこにあるかで、どちらが前なのかを判断していました。何度も続くとそれもだんだん面倒に。
 そこで思い出したのが、刺繍だったのです。さっそく取り掛かろうとはしてみたものの、そんなに複雑なこともできないため、私でもできるパターンはないものか探して、見つけたのが刺繍作家、樋口愉美子さんの本(「2色で楽しむ刺繍生活」樋口愉美子著、文化出版局、2014年)でした。そこから葉っぱのパターンを真似て刺繍をしてみました。あまり良い出来ではありませんが、最初にしてはうまくできたと自画自賛。これで暗闇で着替えるときでも、前後を間違えることがなくなりました。その後、Hand Knittedのタグを手に入れ、このセーターにもタグを付けようと考えましたが、この刺繍があるので、タグを付けないまま現在に至っています。

 残念なことに、このセーターを着ていても、刺繍について言及されたことがいままで一度もありません。刺繍したばかりのころは、『下手すぎて何も言えないのかも……』とちょっとだけ落ち込んだこともありましたが、いまはもう開き直っています(笑)。

 いまのところ、セーターに刺繍をしたのは、このLightweight Raglan Pulloverだけです。しかも、装飾というより、どちらかといえば、前後を間違えないための実用重視なので、そっけないもんです。でも、この刺繍をしたことで、愛着がより増し、このセーターがさらにお気に入りになったのは言うまでもありません。編むだけでなく、それにさらに手を加えると、こんなにも愛おしい気持ちになるものなんだと、改めて認識しました。
 いつかまた、1色だけのメリヤス編みのセーターを編むことがあれば、今度はもうちょっと華やかな刺繍ができたらいいなあ、と思っています。もちろん、ミトンやほかの小モノにも!

 
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