Dutch Heelという、くつ下のかかと編み


 もう15年くらい前になりますが、フィンランドの田舎町を訪れ一般家庭に滞在したことがありました。このことがきっかけで、あるフィンランド人との交流が始まり、それがいまも続いています。上の写真は、その交流が始まってすぐのころに、クリスマスプレゼントとして届いた手編みのくつ下です。当時は編み物をする時間がまったくなかったため、くつ下を編むなんて考えたこともなかったころです。届いたこのくつ下には驚き、しかも、私の名前が編み込まれていて、とってもうれしかったことを覚えています。履くのがもったいなくて、ときどき取り出しては眺めているだけでした。それから何年か後に私がドイツへ引越すことになったときも、荷物のなかに入れていたこのくつ下ですが、やはり履くのがもったいなくてしまい込んでいました。

 何度かの引越しを経て、またドイツに戻ってきた今回、荷物の整理をしていてこのくつ下を手に取ったとき、改めて眺めていたら、つま先は4か所で減らし目をしながら編まれていることと、見たことがないかかとで編まれていることに気づきました(これも自分がくつ下を編むようになったからですね)。

 つま先をよく見てみると、4段ごとの減らし目を5回ほどして、その後2段ごとの減らし目をして、最終的に8目になったら糸を目に通して絞るやり方のようです。私自身、つま先を編むときは、2か所で減らし目(または増し目)をする方法しか知らなかったので、こんな編み方もあるのかと目から鱗でした。


 
 そしてかかとですが、これはDutch Heel ダッチヒールと呼ばれる編み方で編まれていることが分かりました。
 ダッチヒールという言葉だけは知っていましたが、当然編んだこともなく、どんな手法で、どんな見た目なのかをまったく知りませんでした。まさかこんな身近にお手本があったとは。せっかくなので、ダッチヒールについて調べてみました。ダッチヒールは、かかとの目数を同数三分割にして減らし目をしていくため、出来上がりが四角い箱のようになります。見た目がHeel Flap ヒールフラップに似ていますが、かかとの形が直線的なため、そこが大きな違いになっています。

 Ravelry(advanced search -> Attributes -> Sock techniques -> Heel)を見てみると、くつ下のかかとのパターンで圧倒的に多いのはHeel Flap ヒールフラップ、次にShort Row Heel ショートロウヒールで、Dutch Heelは一番少なくてパターン数が1,230(2021年6月10日現在)しかありません。そのため、マイナーなかかと編みの手法かと思いきや、歴史は結構古いようです。見た目はかかとがゴロゴロしそうな感じがしたのですが、実際に履いてみると想像以上に履き心地がとても良くびっくりしました。

 余談ですが、ダッチヒールに近い手法がFrench Heel フレンチヒールと呼ばれるのもで、こちらもなかなか古い方法のようです。このかかとは、中央の2~3目から減らし目をしていくらしく、見た目が逆三角形のようになります。現在もっとも編まれているであろうヒールフラップは、ダッチヒールとフレンチヒールのちょうど間を取ったようなやり方なのかな、と思います。
 ダッチヒールとフレンチヒールについては、下記の記事で比較した写真などが掲載されています。

 というか、このもらったくつ下、いろいろと完成度が高くて改めて驚きました。編み込み模様がステキすぎるし、履き口の伸びといったら、まるで既製品のようなのです。友人は、たしかこのくつ下をおばに編んでもらったと言っていたように記憶しているのですが、おそらく、彼女のおばさんは趣味で編んでいるにしても、手練のニッターさんなんだろうと思います。私は履き口がよく伸びるくつ下を編めた試しがないので、尊敬してしまいます。私ももっと精進しよう……。
 
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