懐かしいドイツ料理と、ガチョウ番の娘にキスをする学生


 夏至が近づく今日このごろ、5月はずっとお天気が悪かったゲッティンゲンですが、ここのところ突然の雷雨はあるものの、良いお天気が続いています。ちょうどロックダウンの緩和がかなり進んだこととこの陽気もあってか、町の中は毎日たくさんの人々が行き交っています。
 この時期はレストランやパブのテラス席で日が沈みゆくのを感じながら、ビールを飲んだり食事をするのがとても楽しいころ。それもあって、昨日、本当に久しぶりにレストランへ食事に出かけました。少し前までは、コロナの陰性証明がなければレストランやパブに入ることができませんでしたが、いまやそんな必要もなくお店に入れる自由さを実感しました。

 入ったのは、町の中心部にある旧市庁舎の地下レストラン、Bullerjahnです。ここのテラス席に座り、まずはビールで乾杯。このGöttingerというビールは、甘い香りが少し強いピルスで、すっきりとした味わいです。

 注文したのは、シュパーゲル(ホワイトアスパラガス)250gと、シュニッツェルというベタなドイツ料理。一口食べただけで、妙な郷愁にかられ、とても懐かしい気持ちが湧き上がってきました。

 ゲッティンゲンへ来てから昨日まで、生活を徐々に整えていっている最中に、なんだか物足りなさを感じていたのですが、その原因は外食をしていなかったからだと、昨日レストランでの食事をして気づきました。以前ドイツに住んでいたときは、ほぼ毎週末に外食をしていたため、それが刷り込まれていたからですね。またこうやって外で食事ができるのが、とてもうれしいです。
 
 ところで、レストランBullerjahnは大きな広場に面していて、この広場には、ガチョウ番の娘リーゼルと呼ばれる像をあしらった噴水 Gänseliesel-Brunnen(リンク:Wikipedia 独)があります。この銅像は、グリム童話の『ガチョウ番の女』(リンク:Wikipedia 日)をモチーフにしたもので、1901年に建てられました。グリム兄弟といえば、ゲッティンゲン大学で教鞭を執っていました。そのゲッティンゲン大学で博士号を取得した学生たちが、この銅像にキスをする慣例があります(銅像ができて間もないころは、新入生が銅像にキスしていたそうですが、いつの間にか博士号を取った学生たちに変わったようです)。ちょうどいまごろが卒業シーズンということもあって、食事中に夫が、学位を取ったらしい学生たちが連れ立って町中へ向かっているのを昼間に見たと言うので、きっとこの銅像にキスするためだねー、なんて話をしていました。しばらくしたら、歓声が聞こえたので銅像の方を見ると、一人の女性が銅像に登り始めたところでした。

 夫が、あの子はきっと博士号を取ったんだよ!と言い、私たちだけでなく、レストランのテラス席に座っていた人たちも町ゆく人たちもみんな、彼女を見守っていました。彼女は持っていた小さなブーケを銅像の周りを飾るフレームに挿し、おもむろに銅像へキスをしました(コロナの大流行で衛生観念が変わったでしょうし、本当にキスしているかは定かではありません。念のため)。

 ここで大きな歓声と拍手が上がりました。私たちだけでなく、見守っっていた人たちもみんな拍手をしていました。おめでとう!

 以前、この銅像を写真に撮ったときは、何の変哲もなかったのですが、この日のリーゼルはたくさんの花束を持っていました。きっとほかにも博士号を取得した学生たちに花束をプレゼントされ、キスされたのだと思います。
 花束を持っていないリーゼルの写真は、下記の記事にあります。

 もともとゲッティンゲンの町に並ぶ建物は古くて味わいがあるため、ただ町歩きをしているだけでも楽しくて好きだったのですが、昨日味わった久しぶりのドイツ料理と、銅像へキスをする学生を見て、ゲッティンゲンという町がさらに好きになりました。
 
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