グリム兄弟の世界 Grimmwelt Kassel

Grimmwelt Kasselの資料展示室は、まるで辞書のようにアルファベットが掲げられていました

 
 昨日はカッセルにあるGrimmwelt Kassel(リンク先:英語公式サイト)という、グリム兄弟の博物館へ行ってきました。2015年に開館したばかりのこの博物館には、兄弟関連の資料だけでなく、グリム童話をモチーフにした現代アートの展示もあったため、現代アート好きの夫は大喜びで、とても楽しく見学できました。開館当時のニュース動画(DW、英語)がありましたので、はっておきます。

 
 グリム兄弟と言えば、ヤーコプ Jacobとヴィルヘルム Wilhelmの二人(本来彼らにはほかにも兄弟がいた)が収集した口承の物語をまとめた「グリム童話」がよく知られています。これだけでなく、100年以上もかけて完成を見たドイツ語辞典(グリム兄弟によって1854年から作られ始め、二人が亡くなったあともその作業は引き継がれ、1960年に完成)も有名で、それにかんする展示も多くありました。

そんなに大きなところではありませんでしたが、見応えはたっぷりありました

 
 やはりグリム童話は強い(?)。世界中さまざまな言語に翻訳され、刊行された本の一部が展示されていました。日本で出版された本もあり(上から3段目の左から2、3冊目)、版元は講談社と小学館でした。

さまざまな国で刊行されたグリム童話集。どれも装丁がとても素敵で、思わず見入ってしまいました

 
 グリム兄弟は、ゲッティンゲン大学で教鞭を執っていたことがあるため、ゲッティンゲンともゆかりの深い人たちです。この博物館には、ヤーコプとヴィルヘルムの一番したの弟ルードヴィヒ Ludwichの絵も展示されていて、グリム兄弟のカッセルからゲッティンゲンへの引越しについて描かれた絵はとても楽しいものでした。

Göttinger Professoren(ゲッティンゲンの教授たち)というタイトルの本(だと思う)。左の似顔絵の下二人がグリム兄弟

 
 これは個人的に気になったもので、「赤ずきん」の物語を書き取ったノートの一部です。これを書いた人たちはグリム兄弟にはまったく関係のない人の手によるものだったらしく、古いものから近年のものまで年代別に並んでいて、写真に撮ったこのノートに目が留まりました。というのも、このノートに書かれている筆記体は、Sütterlin ジュッターリーンと呼ばれる1920年代ごろからドイツで使われるようになった書き文字だったからです。ネットでSütterlin書体の写真は見ていましたが、生で見るのは初めてで感激しました。ちなみに、このSütterlinは1941年に当時の政権(←あえて書かない)がこの筆記体を含めたFraktur フラクトゥール(いわゆるひげ文字と呼ばれる書体)を廃止したため、その後はまったく使われなくなってしまいました。そのため、たとえドイツ人であっても現代の人にはSütterlin筆記体は読めない、とドイツ人の知人に教えてもらったことがあります(というか、ドイツは年代によって習う筆記体に違いがあるため、少し上の世代の書く筆記体でも読めないことがあるらしい)。

ユーモラスなイラストもかわいい。Sütterlinって現代の筆記体とは全然違う形の書体なので、対比表を片手に解読しないと、なんて書いてあるか分からないんですよね……

 
 入館時に、チケットとシールを渡され「このシールで入館者であることが分かるように、服のどこかに貼るように」と言われました。なかなか立派なシールだったので、退館後に私は携帯電話に、夫はパンフレットに貼り直しましたが、博物館の前にある道路標識の柱は、このシールがたくさん貼られていました。

さまざまな色の入館シール。私たちは緑色のシールでした

 
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