アメリカ式で編む、編み込み模様
フランス式で編み込み模様を編むのをよく見かけますが、そういえばアメリカ式ではほとんど見たことがありません。ほぼ日の動画で、ニットデザイナーの三國万里子さんが円周率の手袋を編むときにやっているのを見たことがあるくらい(動画リンク)。そもそも、編むのが速いフェアアイルのニッターさんたちが、アメリカ式で一体どうやって編み込み模様を編んでいるのかをよく知りませんでした(遅い)。調べてみると、アメリカ式で編む世界最速のHazel Tindallさんは両手編みをやってらっしゃいました。うーん……プロも両手を使うのか。たしかに、両手編みの方が実用的だと思います(理由は後述)。でもいまの私には、フランス式の練習がもっと必要です。
ということで、今回Elve Slippersの編地が両手編みだとヒドいことになってしまったことがきっかけで、これをやめて、アメリカ式だけで編み込み模様を編む方法を調べてみることに。すると、フリッキングをしながらも編める方法が見つかりました。どうやるのか、書いてみようと思います。
アメリカ式で編む、編み込み模様のやり方
編み込み模様を編むときは、メインカラー(MC、黄色)は上、コントラストカラー(CC、緑)は下を渡して行きます。なぜなら、これが一番模様がきれいに出るからです。
まずは、CCについて。基本的にCCは普通のフリッキングのフォームです。
編み込むのに使う糸2本を小指に挟みます。
2本の糸の間に人差し指を入れて奥に動かしながら、CCの糸(緑)をかけます。
こうして編むことで、裏でCC糸はMCの下を渡っていくことになります。
次に、MCについて。
2本の糸の間に人差し指を入れて手前に動かしながら、MC(黄色)の糸をかけます。
このとき、糸が人差し指の外側から中側へ糸がかかった状態になります。これは、アメリカ式フリッキングのかけ方と逆です。下の2枚の写真で糸のかかり方が違うことが分かると思います。CCの糸の上を渡っていくMCは、この糸のかけ方で編んでいきます。
この二つを使い分けることで、アメリカ式で編み込み模様を編んでいくことができます。
ちなみに、私が参考にした動画は↓こちらです。
MCの糸のかかり方がちょっと自分にとってはトリッキーだったため、最初は編むときになかなか糸を針にかけることができず苦労しましたが、しばらく編んでいたら不思議と慣れました。また、かける糸を都度人差し指にかけ直すので、一方の糸は指にかかっておらずたわんでいるため、目がゆるくなってしまうかと心配しましたが、指にかけ直すときちっと伸張するため、そこは意外と大丈夫でした。そして、この方法で編んだ結果が、下の写真です(編地左側の目がガタガタなのは見逃して!)。
まだまだ、だいぶ改善の余地はありますが、以前に比べると目がほぼ均一になり、かかとの編み込み模様(下2枚めの写真)と明らかに編地が違うのが分かると思います。
この方法で、思っていたよりも成果が出て(自分比)驚きです。しかも、アメリカ式だけで編んでいけるので、不慣れだったMCの糸のかけ方にさえ慣れれば、かなり速く編めることも分かりました。
ただ、たとえば色が飛び飛びで糸を長く渡さなければならない場合、編んでいる糸で編んでいない糸をくるむ必要がありますが、何度かやってみたものの、右手だけでそれをすることができませんでした。ここの点が、アメリカ式だけで編み込み模様を編む場合の一番の障害になりそうな部分です。今回のように、MC・CCともに糸を渡す距離が近いのであれば、アメリカ式だけで編むのが速くて便利だと思いましたが、糸を渡す距離が遠い場合は、両手編みが一番やりやすそうです(自分が慣れていたせいもありますが)。両手編みはこういうときに便利だろうと思います。アメリカ式の編み込み模様のやり方を書いておいてなんですが、今後のことを考えると、やっぱりフランス式をもっともっと練習して、両手編みでもできるようになりたいですね。アメリカ式のみと両手編みのどちらもできると便利かな、と。