ゲッティンゲンの七教授 Göttinger Siebenの記念碑


 昨日、久しぶりに散歩でゲッティンゲン大学(正式名称はゲオルク・アウグスト大学 Georg-August-Universität)のキャンパスへ行ってきました。我が家からは比較的近いのですが、最近の散歩は市壁の上を歩くばかりで、久しく大学へは行っていませんでした。昨日日曜日はお天気が良かったこともあって、たくさんの人が散歩をしていたり、座りこんだり、寝転んだりしていました。

 ベンチの一つに座って夫と話をしていたら、記念碑のようなものがあることに気づきました。どうやらGと7をかけ合わせた形をしていることが分かり、よく見てみると、ゲッティンゲン大学の七人の教授たちをモチーフにした記念碑(リンク先:Wikipedia)でした。何度かキャンパスに行っているのに、全然気づかなかったなあ。記念碑の下には当時の抗議文(どうやら一部らしいですが)をプレートにしたものが掲げられています。

 日本語で『ゲッティンゲン七教授事件』(リンク先:Wikipedia)と呼ばれる出来事は、ドイツで最初の自由主義(リベラリズム)の活動だったと言われています。ことの始まりは、1833年にハノーファー国王となったエルンスト・アウグストが、即位直後に憲法で制定されていた国王の権利の制限を破棄したことでした。市民たちは反発を覚えますが、抗議をするすべがありませんでした。そこで当時ゲッティンゲン大学教授だった七人が抗議文を大学側に提出しました。この抗議文は大学も国王も受け入れることはせず、これがきっかけでこの七人の教授たちは大学を追われることになります。しかし、学生たちのデモが続くなどますます事態が大きくなるばかりだったため、1840年に破棄された憲法に近い新憲法が発布されたことによって、事態が収束しました。

 このとき抗議文を大学側に提出したのが、ドイツ語では“Göttinger Sieben ゲッティンガー・ズィーベン(ゲッティンゲンの七人)”と呼ばれる教授たちです。

フリードリヒ・クリストフ・ダールマン(歴史学)
ヤーコプ・グリム(ドイツ語学)
ゲオルク・ゴットフリート・ゲルヴィーヌス(文学史)
ヴィルヘルム・エドゥアルト・アルブレヒト(国家法学)
ヴィルヘルム・グリム(ドイツ文学・文献学)
ハインリヒ・エーヴァルト(ヘブライ語・オリエント学)
ヴィルヘルム・エドゥアルト・ヴェーバー(物理学)

 カッセルのグリム兄弟博物館に、彼らの似顔絵が書かれた本が展示されていたのを思い出しました。

カッセルにあるグリム兄弟にかんする博物館Grimmweltに展示されていたGöttinger Sieben。本のタイトルはDie sieben Göttinger Professorenとなっています

 唐突ですが、ゲッティンゲン大学の名前は学生時代から知っていました。1853年に作曲家ブラームスの友人でヴァイオリニストだったヨーゼフ・ヨアヒムが聴講生としてここに通っており、ヨアヒムを尋ねてブラームスがゲッティンゲンに来ていたことがあったとブラームスの伝記に書かれていたためです(私はブラームス作品の大ファン)。ブラームスとヨアヒムがゲッティンゲンにいたのは、ちょうどこの七教授事件が起こった20年後だと今回知って、この事件のことを当然聞いたであろう若いブラームスとヨアヒムの二人は、一体何を思ったのかな、と想像すると少し楽しくなりました(ちなみに、ブラームスはこの事件が起こるきっかけとなった憲法破棄がされた1833年にハンブルクで生まれています)。
 
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