ワインのことをビールに替えた名言


 ドイツでは、レストランなどでビールを注文すると、ビアコースター Bierdeckelとともに提供されるのが一般的です。お店によって、ビールと一緒にコースターを持ってくる場合や、あらかじめテーブルにまとめて置いてある場合もあったりとさまざまですが、ビールにはビアコースターがあるのが普通です(脚のあるグラスでビールが提供されるお店では、その脚に専用の紙を付けておいて、コースターがない場合もあります)。ほとんどのビアコースターは円形か角丸の正方形であることが多く、約1 mmほどの厚紙で作られています。コースターの役割は、ビールのグラスやジョッキにできた水滴が流れ落ちるのを吸ってくれること。これがあるおかげで、水滴でテーブルがびしょびしょにならないし、持ち上げても水滴が服などに落ちて濡れることもありません。
 このビアコースターは、基本的にはそのお店が提供しているビールメーカーのもの(ビール醸造所のお店では、醸造所オリジナルのもの)がほとんどで、いろいろなデザインがあしらわれていることもあって、お店でビールと共に出てくるコースターを見るのが楽しみの一つでもあります。

 先日、隣州の町カッセルへ行ったさい、美味しそうなクラフトビールを飲ませてくれるお店に入りました。二人分のビールを頼み、ビールとともに運ばれてきたコースターが上の写真です。シンプルなデザインで文字だけが書かれているというのはかなり珍しいと思います。
 コースターには、ドイツが誇る文豪であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉が書かれています。

Das Leben ist zu kurz um schlechtes Bier zu trinken.

 『人生は、不味いビールを飲むには短すぎる』とかそんな意味になるでしょうか。思わず強く頷いてしまいました。そうそう、おいしくないビールなんて飲んでる暇なんてありません!

 もちろん、写真でも見て分かる通り、本来は“Das Leben ist zu kurz um schlechter Wein zu trinken”と、ワインのことを言っているんですけどね。調べてみると、ゲーテはワイン愛好家としても良く知られていて(生涯で5万本のワインを飲んだと言われているらしい)、この言葉はゲーテが残したワインに関する名言のうちの一つなんだとか。偉人の名言を使ってビールのことを言ってしまうのがドイツっぽいし、それをお店のコースターにするというのがとても心にくい!

 もちろん、このお店のクラフトビールはとっても美味しくて、気持ちが豊かになりました。夫婦ともどもそのビールがとても気に入ったので、また行きたいと思います。
 
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