道具も必要なし、あとで縫う必要もなし、簡単にできる糸のつなぎ方 Clasped Weft Join


 先日、Instagramを見ていたら、おもしろそうな糸のつなぎ方があったので、備忘録としてここに書いておこうと思います。


 毛糸が一玉終わってしまったら、次の毛糸玉とつなぐのに、結んだりあとで縫ったりするのが一般的な方法でしょう。以前こちらのブログでも、「結んでつなげる」ということを限定して、結び玉(結び目)の見た目の比較をした記事を書いています。

 上の記事を書いたころは、ちょうどMagic Knotと呼ばれる両端結びが自分のなかでブームだったころで、糸をつなげるというと、簡単で玉も小さくなるMagic Knotばかりを使っていました。しかし、結んでつなげるのには、大きなデメリットがあります。それは、結び玉が編み地になじまないことがあることと、裏目を編んでいるときや模様編みをしているときには、この玉が表に出やすいことです(なぜか、表目を編んでいるときは表に出てこないことが多いです。昔、編み物の先生をやっていた叔母に「結び目なんて表に出ないわよ~」と、さも当たり前かのように言われたことがあります)。下記記事は、編み地になじまなかったときのものです。


 
 こういったことがないように、最近はもっぱら仮結びをしておいて、編み終わったあとにそれをほどいて縫い針で縫って始末していました。編み終わったあとの糸始末を「とっても面倒」と思っている私としては、編み終えての達成感のあとで、こういった地味な作業をしなければならないのが少しだけストレスでした(嫌いじゃないんですけどね……)。

 そんなことを思っていたときにInstagramで見つけたのが、Clasped Weft Joinと呼ばれる糸をつなぐ方法でした。この方法は、そのとき使っている編み針以外に必要な道具もありませんし、あとで縫う必要もないという、めんどくさがりにはもってこいの方法です。もともとは、機織りで色違いの横糸をつなげて平織りに模様を出すために使われているテクニックのようで、Clasped Weft(claspは「~を固定する」、weftは「横糸」という意味)という名称はそこから来ているようです。
 

Clasped Weft Joinのやり方

 残り糸があと20cmほどになったら、それを半分に折ってから編みます。このとき、糸は2本どりのようになります。

 そのままの状態で数目を編むと、端に輪ができているので、そこに新しい毛糸玉から糸を通して輪のところで折り、新しい糸が抜けないようにしながら、そのまま続きを編みます。

 折った糸の分(2本どりの状態になっていたところ)が終わったら、あとはそのまま普通に編んでいくだけです。
 
 この方法だと、2本どり状態になっていたところの目が二重になってしまうので、そこだけ見た目がボコボコしてしまうのではないかと思いましたが、想像よりも目立っていなかったのです。下の写真、どこがClasped Weft Joinで編んだところか分かるでしょうか。

 表からでは分からないくらいで、これにはちょっと驚きました(もちろん、よーく見れば分かりますけど)。端糸を縫うときだって、編み地に影響がないようにできるのですし、これも同じことなのでしょう。ブロッキングしたら、もっと分かりにくくなるかもしれませんね。Clasped Weft Joinで編んだのは、下の赤く囲ったところです。


 
 Clasped Weft Joinにとてもよく似た方法で、Russian Joinというのがあります(糸端を縫い針に通してから、糸撚りの中へ針を通していって輪を作り、そこへ新しい糸を通して同じことをしてつなげるというもの)。この方法も悪くないのですが、これは糸に糸を通しているので、一部が倍に膨らんでしまい、編み地の見た目に影響が出ることが多かったこともあって、Russian Joinはほとんど使ったことがありません。
 
 Clasped Weft Joinは、簡単にできる割にほどける心配もなく、編み地の見た目にも影響がほとんどなく、なかなか良い方法だと思います。なにより編み終わったあとの手間が省けるのが良い! ただ、何でもClasped Weft Joinが良いわけではなく、欠点もあります。Chunky糸といった(超)極太糸には向いていないと、InstagramでClasped Weft Joinを紹介していた方が書いていました。あと、試していないので想像ですが、模様編みの最中だと糸が二重になっているところが悪目立ちしそうです。そのため、模様編みのときに糸をつなげなければならないときは、仮結びをしておいてあとで縫い針で始末するしかなさそうですね。

 どのやり方にもメリット・デメリットがあるので、そのときどきで上手に使い分けていこうと思います。ひとまず、セーターやくつ下などでメリヤスを編んでいるときは、Clasped Weft Joinが一番良さそうです。
 
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4件のコメント

  • Yukaさんこんにちは!ちょっとさかのぼってしまいますが、インスタでこんなのを見つけました。これならclasped welt jointで2本どりにならないです!これは目からウロコで、Yukaさんに報告せねばと思いました!😆

    https://www.instagram.com/reel/CoHSu7Xo5jU/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

    最近私のインスタでロシア語?の編み物ワザがたくさん流れてくるのですが、欧米系ではあまり見かけない小ワザがたくさんあってなるほどねぇーと関心してしまいます。

    • Iggiさん、コメントありがとうございます。
      おおおー! これは目から鱗、たしかに! なるほど、2本どりになっているところは交互に編めば表に響かないし、もちろんちゃんと裏で編み込まれるし、すごく良い方法ですね~。次にチャンスがあったら、この方法を試してみたいと思います。教えてくださってありがとうございました!
      私はPinterestでロシア系編み物について知ったクチなのですが、欧米系では見かけないような小ワザが多いの、分かります! 「これは!」と思ったワザはよく保存していますが、ロシア系が多いです。Marynaさんという方が運営されている“10 rows a day”の動画をときどき見ているのですが、彼女はロシア系の方のようで、めずらしい手法を英語で紹介してくださるので重宝しています。

      • Marynaさんの動画、私もよく参考にさせてもらっています!分かりやすいですよね〜

        昨日ちょうど、このつなぎ目テクニック試してみました。糸端は最後縫い込む必要はありますが、編地に関しては2本取りになってボコボコしたり、見た目に影響することは全くありませんでした!これで、太めの毛糸でもclasped weft joinが使えますね。やったー♪

        • さっそく試されたんですね。編み地がそこだけ厚くなったり見た目の影響がないというのはうれしいですね~。しかも、太めの糸で大丈夫そうだというのは、とてもありがたい情報です。いずれ私も絶対に試してみようと思います。ご報告ありがとうございました!

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