ワイン専門店の前で拾った木箱


 昨日買い物途中で近所のワインやウイスキーを扱うお酒専門店の前を通りかかったら、お店の前に“Zu verschenken(『ご自由にどうぞ』とかそんな意味)”と書かれた箱がテーブルの上に置かれていました。ドイツでは、家やアパートの前に、このようなZu verschenkenと書かれた箱がよく置いてあります。こうして出しておくと欲しい人が持っていってくれてリサイクルになるからです。私もただ捨てるにはもったいないと思うものを何度か出しておいたことがあります。あんまりゴミみたいなものを出したことがないからか、たいてい一日できれいになくなっています。
 今回はお店の前だったので、どんなものがあるんだろうと思って箱をのぞいてみると、古くなったグラスなどのほかに、留め金付きの木箱が二つありました。グラスよりも俄然気になったため、手にとってみました。一つはかなり汚れていましたが、もう一つは多少の汚れはあるものの状態が良さそうだったので、ありがたくもらってきました。それが上の写真にある木箱です。

 触ってみると毛羽立ちが気になったので、汚れをきれいに落としてから細かい目のヤスリで磨きました。おかげで、当初よりは少しマシになったと思います。あとで亜麻仁油を塗り込もうかな。


 
 箱をきれいにしたら、これは一体どんな用途で使われたものだったのかが気になりました。
 表書きを見たら、いわゆるひげ文字と呼ばれるフラクトゥア(フラクトゥール) Fraktur(リンク先:Wikipedia)で、下記のように書かれていました。

上部(帯にある文字):Esslingen / N.
下部(絵の下の文字):E. C. Kessler & Co. Esslingen / N. – Deutschlands älteste Sektkellerei

 シュトゥットガルトにほど近い、Esslingen am Neckar(箱のEsslingen / N.はEsslingen am Neckarの略)という地域にある、ドイツで一番古いシャンパン醸造所Kessler ケスラーの商品が入っていた箱だったようですね。もちろん、Kesslerは実在する醸造所です。一番下にはブロック体でKesslerのゼクト(スパークリングワイン)の小さい瓶(0,2l)6本入りと書かれています。

 なお、地名のあとに“am ◎◎”とあるのは、その地名が複数あるため、呼び分けるために『◎◎河畔の』と地名に川の名前が添えられることがあるためです(知ってる限りでは川の名前だけだと思う)。この醸造所KesslerがあるEsslingen am Neckarは、『ネッカー河畔のエスリンゲン』という意味となります。こういう地名はほかにもあって、たとえば、日本でもよく知られているヘッセン州の州都フランクフルト Frankfurtは、正式にはFrankfurt am Main(『マイン河畔のフランクフルト』)と表記します。というのも、ポーランドとの国境そばにもフランクフルトがあるからです。こちらはFrankfurt an der Oder(『オーダー河畔のフランクフルト』)と呼ばれています。
 
 ということで、良い拾い物ができました。
 さて、この箱を何に使おうかな。現在考え中。最初は編み物の道具を入れることを考えていましたが、それよりもずっと欲しかった裁縫道具入れにしようかなとも思っています。ただ、サイズが18,5 × 21,7 × 13,0 cm(内側はこの数値から約1,2 cm引いた長さ)と、ちょっと大きいのよね。そのまま裁縫道具をしまうには深さもあるし、何か工夫が必要かも。こういうのを考えるのは楽しくて好きです。
 
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