悲しきイプシロン


 先日、洋服から家庭用品までいろんなものが売られているTKMaxxというお店へ行ったときに、普段はほとんど足を止めることのないアクセサリー売り場をたまたま見ていました。すると、私の名前のアルファベットであるYをモチーフにしたペンダントがあるではないですか。「どうせ、お高いんでしょ〜う?」と思いながら値段を見たら、なんとたったの€3! 元の値段から何度か値下げをした印であるオレンジ色のシールが3枚ほど重なって貼られていました。売れないからだんだん値下げされていき、しまいには€3とは投げ売りがすぎる。どこのブランドかは分かりませんが、元値が€30以上もしてたのに。ということで購入しました。やったー!

 ドイツではアルファベットグッズが売られていたら、大抵の場合、Yがありません。

シュトゥットガルトにあるオランダ雑貨屋HEMAにあったアルファベットの入ったマグカップ。やっぱりYがない……

なぜか。それはドイツ人名でYから始まる名前がないからです。そんなんだから、Yを見つけたときはついつい買ってしまいます。
 これまでドイツで会ってきた日本人女性たちは、私も含め、Yから始まる名前の方が多かったです。日本人以外だと中国人女性にいましたが、西洋人には皆無。「ヤ・ユ・ヨ」という音は、ドイツ語のアルファベットだとJが使われます。たとえば女性名のJulie ユリー、男性名のJulian ユリアンなどです。以前書いた記事で、ドイツ語でのフォネティックコードを扱ったことがありました。

 英語のフォネティックコードは、いろんな名詞が使われていますが、ドイツ語の場合はほとんどが人名です。おもしろいのは、ß エスツェットとY イプシロンだけは、その文字の名称が使われている点です。エスツェットで始まる単語も人名もないのでこれは分かるけど、まさかのYまでとはね。そういえば、タイピングキーボードは、日本の場合アメリカと一緒のQWERTY クヴェルティー配列ですが、ドイツのキーボードはQWERTZ クヴェルティツ配列なのです。YじゃなくてZ! ドイツ語にはZから始まる単語はたくさんありますから、一番使いやすい左人差し指で押せるところに配置されているんです。ではYはどこにあるかというと、アメリカ配列で一番押しにくいところ、つまり左小指で押すZの場所にYがあるのです。ドイツ語でそんなに使われないのか、Yってやつは……。

 そういう訳で、ドイツ語圏でのY イプシロンの存在を悲しく思うこともありますが、たまーに今回のようなこともあるので、そんなときは大袈裟に喜ぶようにしています。
 
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