初夏の珍味『野生のアスパラ』という名のWildspargel ヴィルトシュパーゲル


 2023年の第25週(6月19~25日)は、久しぶりに雨の多い週でした。ようやく雨雲がなくなった週末は、とてもお天気が良かったので、週の市 Wochenmarktへ行き、最近になってスーパーの店頭に並び始めた桃を探しに行ってきました。

 しかし、よく立ち寄る八百屋さんには、目当ての桃はまだ並んでおらず、がっかりしながらほかのお店を見て回っていたら、緑の小さな束が目に入りました。そこには“Wildspargel ヴィルトシュパーゲル(野生のアスパラ)”とありました。見た目はつくしみたいで、なんだかとても美味しそう。ドイツ人が大好きな白アスパラ Weißspargelが、そろそろ店頭から消えるころに現れたWildspargel。強く興味を引かれたので、一束購入することに。家に帰って、さっそくWildspargelが何なのか、調理方法を調べてみました。

 Wildspargelは、5月ごろから食されるこの時期だけの山菜のような珍味だそうで、日本ではフランス語のアスパラソバージュという言葉で知られているみたいですね。なんでフランス語?と思ったら、日本はフランス産を輸入しているかららしいです。
 アスパラガスという名称ではあるものの、実際はアスパラガス属の植物ではありません。その証拠に、私がマルクトで購入したWildspargelの茎の部分には、アスパラガスのような節がありません。穂先は麦やつくしの見た目に似ています。本来の名称は、学名のOrnithogalum pyrenaicum オルニトガルム・ピレナイクムと言って、ピレネー山脈周辺に分布していることから名づけられています(“pyrenaicum”は「ピレネー山脈の」という意味)。詳しくはWikipedia(リンク先:Wikipedia内アスパラソバージュ)にまとめられています。本来のワイルドアスパラガスとオルニトガルム・ピレナイクムの違いも写真で見ることができます。

 オルニトガルム・ピレナイクムは、フランスではasperge des bois アスペルジュ・デ・ボワ(森のアスパラガス)と呼ばれていて、Asperge sauvage アスペルジュ・ソバージュ(野生のアスパラガス)とは区別されているみたいです(でも、混同されていることが多いらしい)。ドイツ語だと、『森のアスパラ』はWaldspargelですね。そう呼ばれることもあるようです。
 ここでは、便宜的に一般に流通しているらしい名称のWildspargelで通します。

 Wildspargelは、簡単に言うと、若いアスパラガスです。Weißspargelは調理前に皮を剥く必要がありますが、Wildspargelは若い芽なのでそんなことをする必要はなく、調理がとても簡単です。Wildspargelを水で洗ったら根本を少しだけ切り落とし、大きな鍋でお湯を沸かして、そこにちょっとの塩を入れてから3分くらい茹でるだけ。茹でたあとは、冷水に漬けるといいかもしれませんが、私はそのまま冷ますだけにしました。茹で上がった直後と冷ましたあとで、ためしに味見をしてみましたが、火が通り過ぎてしまうこともなく、冷めたあとでもシャクッシャクッとした歯ごたえがちゃんと残っていました。

Wildspargelを水で洗ったら、根本を1 cmほど切ります

 
塩を入れた沸騰したお湯で3~4分ほど茹でます

 
茹でたWildspargelをザルで水切り

 
 レシピを調べてみると、いろんな方法が見つかりましたが、今回は初めてのWildspargelだし、ちょっとだけ油で炒めて塩を振ってから食べることにしました。

 これが美味しすぎて、驚いちゃったよ! アスパラガスが大好物の私、歓喜。シャクッとした歯ごたえに、噛むとオクラのようにちょっとねっとりとしてきて、甘味とほんの少しだけの苦味が同居してて、実に美味しい。塩とこしょうを振っただけの焼いた豚肉の付け合せとしても最高でした。

すでに茹でてあったので、1分くらい油を絡めるだけにして、焼いた豚肉とともにお皿に盛り付け。塩と油だけという単純な味付けですが、その方がWildspargelの味わいが分かりやすかったです

 
 Wildspargeは、収穫時期が短いため、あっという間に販売期間が終わってしまうようですが、また見つけることができたら絶対に買おうっと。次は和食っぽい調理法を試してみたいです。

 これまでも、マルクトでは、スーパーでは手に入らないような野菜や果物などを見つけてきました。日本から渡独したばかりのころに、もやしを見つけたのもマルクトでしたし、そのほかには、根本まであるほうれん草(ドイツは葉っぱだけが袋詰めされたものはスーパーでも買えますが、根まであるものはスーパーでは見かけません)、オクラ、金柑、水菜、最近だとギョウジャニンニクも。パッと思い出したものだけでも、これくらいはあります。

 こういうことがままあるので、マルクトってついつい足を運んじゃうんだよなー。季節ごとの楽しみを見つけることができるのがマルクト。
 
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