伸縮性のある伏せ止めElastic Bind Off


 編み物で伏せ止めにどの方法を選ぶのかは、個人的に悩ましい問題です。つま先から編むToe-Upくつ下のときはそれがかなり重要になってきます。というのも、履き口に伸縮性がないと、下手したらくつ下を履くことができなくなる可能性があるからです。

 くつ下編みを始めたばかりのころは、つま先から編むくつ下ばかりを編んでいたこともあって、自分史上最高の伸縮性があるJeny’s Surprisingly Stretchy Bind Offを多用していたことがありました。それまでは、自分の手だとまったく伸びがなくなってしまう一般的な伏せ止め(表目を編んでかぶせていく方法)と縫い針を使うゴム編み止めしか知らなかった私にとっては、JSSBOはどんな場合でもすばらしく伸びる伏せ止めとして、くつ下だけでなく、本当に何を編んでいるときでも使っていました。しかし、だんだん自分がいろいろなことができるようになってきたころ、このJSSBOの見た目(とくに横から見たとき!)があまり好きではないことが分かってきたのです。伸縮性か見た目か、一時期は結構悩んでいたこともありました。そうなってくると、だんだんつま先から編むことが億劫になり、以前はあんだけ苦手意識があった履き口から編むCuff-Downくつ下ばかりを編むようになってしまいました。

 ところで、つま先から編むのにハマっていたころに編んだくつ下で、残りの糸が少なかったせいで脚 Leg部分が短くなってしまった上に、左右で脚部分の長さが違うものがありました(10段くらい違っていた)。でももう糸は使い切ってしまったし、どうせ外から見えないからこれはこれで家の中だけで履いてればいいか……と使い続けていました。が、あるとき手持ちの糸を整理していたさいに、このときのくつ下に使った糸が少しだけ出てきました。しかも、左右で長さを揃えるだけでなく、もう少し段を増やすのにも十分な量だったのです。これには歓喜。さっそく、編み足すことにしました。
 そのくつ下は、JSSBOで伏せ止めをしていたのですが、今回は別の伸縮性のある伏せ止めを試してみようとネットで検索してみたら、Elastic Bind Offとそのままズバリで呼ばれている伏せ止めの方法が見つかりました。正直、あまり期待していなかったのですが、やってみたら予想以上に伸縮性があってびっくり。見た目もまずまずなのが気に入りました。
 解説するほど難しいものではないのですが、やり方を書いておこうと思います。

※2023年12月6日追記
 2020年にStretchy Bind Offという名称で紹介されていた伏せ止めについての記事を書きましたが、これはElastic Bind Offと同じやり方の伏せ止めでした。名称が違ったので、同じ方法であることに気づいていませんでした。


 

Elastic Bind Offのやり方

 この方法を試したくつ下は、表目2、裏目1で編んだものなので、それに則った編み方になっています。

1. 最初の目を表目で編み、次の目も表目で編む

2. 右針にかかった2目に左針を刺し入れ、2目一度で表目を編む。

3. 次の目が裏目の場合、裏目を編む

4. 糸を手前から後ろへ持っていってから、左針を右針にかかっている2目に差し入れ、2目一度で表目を編む

5. このように、表目は表目で、裏目は裏目で編み、先に右針にかかっている目と2目一度で表目を編むというのを最後までくり返してできあがり

 この伸びっぷり。気に入った!

 ブロッキングをしたあとのとじた目はこんな感じです。ちょっと間延びしたくさり目という感じでしょうか。これくらいなら許容範囲。写真だとちょっと見づらいですが、横から見た感じも悪くありません。

伏せ止めを上から見たところ。目がかなり緩くなっているため、ちょっとガタガタしていますが、個人的には問題なし

 
かなり見づらいですが、Elastric Bind Offを横から見たところ。Jeny’s Surprisingly Stretchy Bind Offで一番気になっていたのが横からの見た目だったので、これには満足

 このとじ方だと、そもそも目をキツくすることができないので(キツくしすぎると2目一度をするときに針を入れられない)、それもあって目が緩めになり、伸びもよくなるのかもしれません。いずれにしても、見た目もいいし伸縮性もいいとあって、今後はElastic Bind Offを使っていくことになるかも。

 このくつ下は編んでから3年以上経ちますが、今回同じ糸を使って編み足してビックリ。全然違う色になってるー! 編み足さなければ気づかなかったかも……。とくに白い部分が分かりやすい。編み足した白と編んであった白、同じ色とは思えないほどの違い。これは、ヨーロッパの硬水の影響なのです。白物はだんだん白さを失い、あっという間に灰色になってしまいます。ちゃんと色物と白物を分けて専用洗剤を使えば防げるようなんですけどね。
 それにしても、こうやってみると本当にすごい違いだ。

 こうも違うと、せっかく脚部分の長さを揃えましたが、やっぱり家履き用になっちゃいますね。仕方ナス。
 
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