愛知県一宮市から、かすり染め糸が届きました
先日、日本から思いかけず、編みごたえのありそうな素敵な糸が巻かれた四つのコーンと、バッグが届きました。箱を開けてその大きさにびっくり！
先月2023年5月中旬ごろ、ブログを通じて、一通のメッセージを受け取りました。送ってくださったのは、愛知県一宮市にあるレインボー株式会社の方からで、『ヨーロッパの編み物事情について教えて欲しい』とのこと。私のような、たまたまドイツに住んでいるだけの一介のニッターが、どこまでお答えできるのかが分からず、悩んだ末にお引き受けすることになり、メールのやり取りが始まりました。その後、いただいたいくつかのご質問に対して、これまでドイツやイギリス、はたまた別のヨーロッパの国で見て感じたことなどをお答えしました。すると、そのお礼にと糸を送ってくださり、それが届いたのでした。
一宮市は尾張地方、尾州［びしゅう］と呼ばれる地域にあり、ここは昔から（古くは平安時代まで遡ることができるのだとか！）毛織物が盛んなところなのだそうです。恥ずかしながら、寡聞にして存じませんでした。世界三大毛織物産地と呼ばれるうちの一つが一宮市だと知ったのも、会社の方とやり取りするなかで自分でいろいろと調べたときでした。ちなみに、あとの二つは、アルプス山脈の麓にあるイタリアの町Biella（ビエッラ）と、イギリスのウェスト・ヨークシャー、ちょうどマンチェスターとリーズの間にある町Huddersfield（ハダースフィールド）です。
送っていただいたのは、四つともレインボー株式会社が得意としていらっしゃるかすり染めの糸です。『かすり染め』とは、2色以上の色を使って染められた糸のことで、くつ下を編むようになって知ったソックヤーンなどに見られる段染めも、かすり染めのことなのだとか。「かすり染めが得意」だとおっしゃるだけあって、驚くほどに美しい色合い糸、そして編み上がった地の模様の数々に、しばらくの間見入ってしまいました。Instagramのアカウントでもそれを見ることができます。
◎Instagram @kasuri_rainbow_co.ltd
太さや素材の違う糸を撚り合わせたものを『ファンシーヤーン Fancy Yarn』と呼ぶのだそうで、今回のやり取りで初めて知った言葉です。私自身、これまでファンシーヤーンをほとんど使ったことがありませんでした。
ファンシー-ヤーン〖fancy yarn〗
種類・色・大きさなどの違った糸を組み合わせて撚〈よ〉り合わせた糸のこと。
引用元：デジタル大辞泉 第二版（小学館、2012）
レインボー株式会社では、かすり染めの糸にかすり染めの糸を撚り合わせて、鮮やかな色合いの糸を作ってらっしゃるそうです。今回、お送りいただいた4種の糸は、コットン、ウール、ナイロンなどさまざまな素材の糸を撚り合わせて作られているようで、一つ一つのさわり心地が全然違い、私にとっては未知の世界。せっかくこのような機会をいただくことができたので、まずは一つ一つスワッチを編んでみてから、何を編むかを考えようと思います。
そして、同梱されていたバッグは、まさにかすり染めの糸で編まれたもので、素材はポリエステル100%、糸はもちろんのこと、編み地にも伸縮性・弾力性があってとても丈夫そうです。たくさんの色が複雑に混ざっていて、なかにはとても派手な色も入っていますが、寒色系がバランス良く入っているため、実際にはそんなに派手には感じません。そのとき身につけている服の色を選ばず使えそうです。最初は、どこかへ移動するときに編みかけのものを入れるバッグとして使おうかと思っていたのですが、そのときまで我慢できずに、近所へ買い物へ行くときや散歩のときに使っています。長財布、エコバッグ、スマートフォン、ハンカチ（手ぬぐい）、ティッシュ、リップクリームなど、いつも持ち歩いているものを入れてもびくともしない糸の丈夫さに感激しています。
4種の糸もバッグも、どれもが望外の喜びでした。手にとって触ってみて、うれしさのあまり心が躍ったのは言うまでもありません。糸は今から編むのが楽しみで仕方ありませんし、バッグはこれから生活の一部となってくれるでしょう。
改めまして心よりお礼を申し上げます。糸とバッグをお送りくださって、本当にありがとうございました！
それにしても、いただいたメールにお答えするうちに、自分が思っていたよりもいろんなことを考えていたことが分かってちょっとビックリ。自分自身を顧みることができた貴重な体験でした。
いただいた糸についての感想や編んだものは、下記で紹介しています。
